早期離職の原因、面談で正直に話してもらえていますか?

早期離職の原因、面談で正直に話してもらえていますか? 採用・定着
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「退職します」と告げられても、理由は「一身上の都合」の一言だけ。面談を設けてみても「大丈夫です」と返ってくる。採用にかけた70〜100万円のコストが水の泡になり、残ったメンバーへの業務しわ寄せも起きる。入社後すぐに辞めてしまう「早期離職」は、中小企業にとって経営そのものを揺るがす問題です。この記事では、早期離職の本当の原因を面談で引き出す方法と、再発を防ぐための改善アクションを、専任人事がいない企業でも実践できる形でお伝えします。

早期離職の「本当の原因」が見えにくい理由

表面的な理由の裏に隠れているもの

退職届に書かれる「一身上の都合」は、本人が本音を語らないための無難な表現です。実際には「業務内容が聞いていた話と違った」「上司との関係がつらかった」「職場の雰囲気に馴染めなかった」といった具体的な理由が存在します。しかし、退職を決意した段階では「どうせ話しても変わらない」「もめたくない」という気持ちが強く、本音を打ち明けるインセンティブが働きません。

さらに小規模な職場では「自分の発言が誰かに伝わるかもしれない」という警戒感も強く、面談の場で率直に話してもらうことは想像以上に難しいのが現実です。

早期離職のミスマッチは入社1〜2週間で始まっている

厄介なのは、「何か違う」という違和感が入社後1〜2週間という早い段階で生じているにもかかわらず、それが表面化するのは3〜6ヶ月後になりがちな点です。試用期間が終わるころに初めて「なんか合わない人材だった」と気づいても、すでに手遅れのケースがほとんどです。

違和感の種類も多岐にわたります。「求人票に書かれていた業務と実態が異なる」「入社前に感じた活気ある雰囲気が幻想だった」「教育担当の先輩との相性が悪い」など、採用選考では見抜けない要素が現場で次々と露出します。これらの小さな違和感を早期に拾い上げる仕組みがないこと、それ自体が早期離職の最大の温床です。

メンタル不調が隠れているケースも

「仕事が合わない」「人間関係が嫌だ」という言葉の裏に、適応障害や不安障害の兆候が潜んでいるケースがあります。中小企業では「メンタル不調=病気」という認識が薄く、本人も気づかないまま限界を迎えて退職に至ることが少なくありません。さらに深刻なのは、退職後に元従業員からハラスメントの主張や未払い賃金請求といったトラブルに発展するリスクです。在職中に安全配慮義務(労働契約法5条)を果たしていたかどうかが、後になって問われることになります。

退職面談で本音を引き出せない「やりがちなミス」

直属上司が面談担当になっている

最もよくある失敗は、早期離職の原因が上司との関係にあるにもかかわらず、その上司が退職面談を担当してしまうケースです。当然ながら、部下は「本当のことを言えない」状況に置かれます。面談を設けたこと自体は正しくても、担当者の選定を誤ると逆効果になります。

退職面談や定期的な入社後面談(オンボーディング面談)は、経営者・兼務人事担当者・あるいは外部の支援者など、直属の上司とは異なる立場の人物が担当することが基本です。「あなたの話を会社として聞きたい」という中立的なポジションを示すことが、本音を引き出す前提条件になります。

「なんで辞めるの?」という直球質問の危険性

焦るあまり「なんで辞めるの?」「うちの会社のどこが悪かったの?」と直球で切り込んでしまうのも逆効果です。問い詰められたと感じた相手は防衛的になり、表面的な答えしか返ってこなくなります。

効果的な面談では、まず「入社してみてどうでしたか?」「職場環境で気になっていたことはありましたか?」といったオープンな質問から始め、相手が話しやすい雰囲気を作ることが重要です。本題に入る前に「今日の話は、会社改善のための参考にするためのもので、個人を責めるためのものではありません」という目的の説明も欠かせません。

面談記録を残していない

面談後に記録を残していないことも、実務上の大きなリスクです。後日「そんな話は聞いていない」「対応してもらえなかった」とトラブルの根拠にされるケースがあります。最低限、「面談日時・参加者・主な話題・会社として取った対応」の4点は記録として残してください。個人情報保護法の観点から、面談で得た健康状態や家族事情などの情報は適切に管理し、第三者への不用意な共有は避ける必要があります。

早期離職のサインを見逃さないための観察ポイント

行動の変化に注目する

面談を待たなくても、日常の行動変化から早期離職のリスクを察知することができます。具体的なシグナルとして、遅刻・早退が増える、質問や発言が急に減る、有給申請が増える(入社直後にもかかわらず)、同僚や先輩との会話が減るといった変化が挙げられます。

これらは単独では「たまたま」で片付けられますが、複数が重なったときは要注意のサインです。特に「発言が減る」変化は見落とされやすく、かつ早期離職の前兆として信頼性が高いとされています。

入社1週間後の面談が最も重要

オンボーディング面談のタイミングとして実務的に推奨されているのは、入社1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後の3回セットです。なかでも「入社1週間後」の面談は最も見落とされており、かつ最も重要です。

入社1週間というのは、求人票で描いていた期待と現実のギャップが一番鮮明に感じられる時期です。「思っていた仕事と違う」「雰囲気が想像と異なる」という違和感が生まれたばかりの段階で話を聞くことができれば、軌道修正や誤解の解消が間に合います。逆にこのタイミングを逃すと、違和感は固定化し「やっぱり辞めよう」という決意に変わっていきます。

オンボーディング面談で確認すべき質問例

オンボーディング面談では、以下のような質問を基本の型として持っておくと役立ちます。

  • 「入社前にイメージしていた仕事内容と、実際の仕事内容にギャップはありましたか?」
  • 「職場の雰囲気や人間関係で、気になっていることはありますか?」
  • 「業務を進める上で、困っていることや不明点はありますか?」
  • 「教育・研修の進め方について、何か改善してほしいことはありますか?」
  • 「今後、どんなことに取り組んでいきたいと思っていますか?」

「問題ないです」という答えで終わってしまう場合は、「例えばこういうことで困っている人もいるんですが、いかがですか?」と具体例を出すことで、相手が答えやすくなります。質問の順序も重要で、まず仕事内容の話から始め、その後に人間関係の話に移ると自然な流れを作れます。

面談で把握した課題を、改善アクションにつなげる方法

個人の問題と組織の問題を切り分ける

面談で得た情報を分析する際には、「その人固有の問題」なのか「組織的・制度的な問題」なのかを切り分けることが重要です。複数の離職者から同じような理由が挙げられている場合は、個人の問題ではなく組織改善が必要なサインです。

例えば「入社後のOJTが曖昧で、何を覚えればいいかわからなかった」という声が複数出ているなら、教育担当者の問題ではなく、オンボーディングの設計自体を見直す必要があります。面談記録を蓄積・分類していくことで、こうした傾向把握が可能になります。

採用段階に遡って見直す視点

早期離職の原因が「業務内容のミスマッチ」に集中しているならば、問題は入社後の面談だけでなく、採用段階での情報提供にあるかもしれません。求人票の内容、面接での説明、内定後のフォローといった採用プロセス全体を「リアルな仕事内容を正確に伝えられているか」という観点で見直すことが、根本的な改善につながります。

特に中小企業では「多少話を盛ってでも人材を採用したい」という焦りが、入社後のミスマッチを生む大きな要因になっています。短期的な採用成功よりも、入社後に定着してもらえる採用の設計を優先することが、長期的なコスト削減につながります。

メンタル不調の疑いがある場合の対応フロー

面談や観察の中で「メンタル不調の兆候があるかもしれない」と感じた場合は、早期に適切なサポートにつなぐことが重要です。常時50名以上の事業場ではストレスチェックの実施が義務付けられていますが(労働安全衛生法66条の10)、50名未満の企業でも努力義務として実施が推奨されています。

兆候に気づきながら対応を先送りにすると、使用者の安全配慮義務(労働契約法5条)違反のリスクが生じます。外部の産業医や相談窓口を活用し、「会社として早期に気づいて動いた」という事実を記録として残しておくことが、リスク管理の観点からも不可欠です。

専任人事がいない企業が今日からできる離職防止の仕組み

まず「型」を作ることから始める

専任人事がいない企業で最も陥りやすいのが「面談は感覚でやっている」という状態です。担当者が変わるたびに質問内容や進め方がバラバラになり、比較できるデータが蓄積されません。まずシンプルな面談シート(質問項目・記録欄・対応欄を含む1ページ程度のもの)を用意するだけで、面談の質と継続性が大きく変わります。

完璧なフォーマットを作ろうとする必要はありません。「入社1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後に面談を行い、決まった質問を聞いて記録する」というシンプルなルールを守るだけで、多くの課題が早期に把握できるようになります。

継続できる運用設計を意識する

仕組みを作っても継続できなければ意味がありません。中小企業では人事担当者が別の業務と兼務していることがほとんどであるため、面談の工数は最小化する設計が必要です。面談は1回30分以内、記録は箇条書き5〜10行程度を目安にすると、無理なく継続できます。

また、面談で上がった課題への対応状況も記録しておくことが重要です。「面談で話を聞いてもらったのに何も変わらなかった」という経験は、従業員の信頼感を損ない、次の面談で本音を話さなくなる原因になります。小さな改善でも「あなたの声をもとに、こう変えました」と伝えることが、次の面談の質を高めます。

まとめ

早期離職の本当の原因は、退職届の文面には書かれていません。違和感は入社1〜2週間という早い段階で始まっていますが、適切な面談の仕組みがなければ3〜6ヶ月後まで表面化せず、手遅れになります。退職面談で本音を引き出すには、担当者の選定・質問の設計・記録の徹底という三つの要素が欠かせません。そして退職面談だけでなく、入社1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後のオンボーディング面談を型として整備することが、早期離職を防ぐ根本的な解決策になります。

「面談のやり方がわからない」「メンタル不調のサインが出ているけれど次のアクションが見えない」「現在の採用プロセスを見直したい」という場合、ウェルセンス株式会社では、専任人事がいない中小企業に向けた面談設計の支援や、メンタルヘルス対応、採用定着化のサポートを提供しています。お気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 試用期間中に「合わない」と感じたら会社から解雇できますか?

A. 試用期間中であっても、「客観的に合理的な理由」がなければ解雇は無効になります(労働契約法16条)。「なんとなく合わない」「雰囲気が違う」といった感覚的な理由だけでは解雇理由として認められません。能力不足・勤怠問題などを記録として積み上げた上で判断する必要があります。解雇を検討する場合は、必ず専門家(社会保険労務士・弁護士)に相談してください。

Q. 退職面談で「本音を話さない」従業員への対応はどうすればよいですか?

A. 面談の冒頭で「今日の話は個人を責めるためではなく、会社改善の参考にするために聞かせてほしい」と目的を明確に伝えることが効果的です。また、直属上司ではなく経営者や人事担当者・外部の支援者が面談を担当することで、話しやすい環境を作ることができます。「具体的にはどんな場面で感じましたか?」と深掘りする質問も、表面的な回答を超えるために有効です。

Q. オンボーディング面談はどのタイミングで何回実施すればよいですか?

A. 実務的に推奨されているのは「入社1週間後・1ヶ月後・3ヶ月後」の3回セットです。特に入社1週間後の面談が最も見落とされやすく、かつ最も重要です。この時期は求人票で描いていた期待と現実のギャップを最も鮮明に感じている時期で、早期に対話することで軌道修正や誤解の解消が間に合います。1回あたり30分程度の短い面談でも十分な効果があります。

Q. 入社直後にメンタル不調の兆候がある場合、会社としてどう対応すべきですか?

A. 兆候に気づいたら、まず本人に「最近どんな様子ですか?」と声をかけ、話を聞く機会を作ることが第一歩です。その上で、状況に応じて産業医や外部の相談窓口への案内を行います。兆候を把握しながら対応を先送りにすると、使用者の安全配慮義務(労働契約法5条)違反のリスクが生じます。対応の記録を残しておくことも、後日のトラブル防止に重要です。専門知識に不安がある場合は、外部の支援機関に早めに相談することをおすすめします。

Q. 専任人事がいない会社でも、面談の仕組みを整えることはできますか?

A. できます。重要なのは「完璧な仕組み」を作ることではなく、「シンプルで継続できる型」を持つことです。質問項目・記録欄・対応欄が入った1ページ程度の面談シートを用意し、決まったタイミングで実施するだけでも大きく変わります。面談1回30分以内、記録は箇条書き5〜10行程度を目安にすると兼務担当者でも無理なく継続できます。型作りに不安がある場合は、外部の専門家のサポートを活用することも有効な選択肢です。

【監修】ウェルセンス株式会社
社会保険労務士・産業カウンセラーと連携し、中小・成長企業の人事課題に向き合う実務ノウハウをお届けします。
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