外国籍社員の社会保険・雇用保険、加入手続きはどうすればいい?

外国籍社員の社会保険・雇用保険、加入手続きはどうすればいい? 組織運営
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「うちにも外国籍の社員が入ることになった。日本人と同じように手続きすればいいのか、それとも何か違うのか…」採用が決まって初めて気づく、外国籍社員の雇用手続きの複雑さ。在留資格の確認から社会保険・雇用保険の加入、ハローワークへの届出まで、窓口も書類も複数にまたがります。この記事では、専任人事がいない中小企業の担当者でも迷わず対応できるよう、全体の流れと落とし穴を整理します。

外国籍社員の雇用手続き、日本人との違いはここだけ

結論から言えば、社会保険・雇用保険の加入ルール自体は日本人と同じです。ただし、外国籍社員には「在留資格の確認」と「外国人雇用状況の届出」という、日本人にはない手続きが加わります。

基本的なルールは「国籍不問」

健康保険・厚生年金保険・雇用保険のいずれも、適用の要件は国籍を問いません。所定労働時間・雇用期間などの要件を満たせば、外国籍社員であっても加入義務が生じます。「外国人だから対象外」という理解は誤りであり、未加入のまま放置すると会社側が法令違反を問われるリスクがあります。

外国籍社員だけに必要な手続き

日本人の採用にはない手続きとして、大きく二つあります。一つは採用時の在留資格確認(在留カードの提示を受け、就労可否・在留期限を確認すること)、もう一つは雇入れ・離職の際にハローワークへ行う「外国人雇用状況の届出」です。後者は雇用保険の被保険者かどうかにかかわらず、すべての外国籍労働者が対象となります。届出漏れには30万円以下の過料という罰則もあるため、見落としは禁物です。

手続きの全体像を把握する

採用から入社後の管理まで、対応すべき主な窓口と内容を整理すると次のとおりです。

タイミング 確認・手続き内容 窓口
採用決定時 在留カードで就労可否・在留期限を確認 社内(本人から提示)
入社時 健康保険・厚生年金の資格取得届 年金事務所
入社時 雇用保険被保険者資格取得届(在留カード番号を記載) ハローワーク
入社時 外国人雇用状況の届出(被保険者は上記と兼用) ハローワーク
在留期限3か月前 在留期限の確認・本人への更新手続き促進 社内管理
離職時 雇用保険喪失届+外国人雇用状況の届出(被保険者は兼用) ハローワーク

在留資格の確認、採用時にどこを見るか

在留資格の確認は、採用内定・採用時に必ず行います。確認すべきポイントは「就労できる資格かどうか」「在留期限が有効か」「業務内容が資格の範囲内か」の三点です。

在留カードで確認する三つのポイント

まず、在留カード表面の「在留資格」欄を確認します。「永住者」「日本人の配偶者等」「定住者」「特別永住者」は、基本的にどのような業務にも就労できます。「技術・人文知識・国際業務」「特定技能」などの就労ビザは、従事できる業務の範囲が定められており、単純労働への従事は認められていません。次に、カード表面の「在留期間(満了日)」が有効期限内であることを確認します。さらに、カード裏面に「就労不可」の記載がある場合(留学ビザなど)は、原則として就労できません。ただし「資格外活動許可」の印があれば、週28時間以内(学校の長期休暇中は週40時間以内)のアルバイトが可能です。

偽造カードへの対応

出入国在留管理庁が提供する「在留カード番号失効情報照会サービス」を利用すれば、提示されたカードが失効していないかをオンラインで確認できます。万一、企業が不法就労の外国籍社員を雇用した場合、知らなかったとしても「不法就労助長罪」に問われる可能性があります。採用時の確認は必ず記録に残しておきましょう。

業務内容と在留資格の整合性を確認する

「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ社員をIT開発や通訳業務に就かせるのは問題ありませんが、倉庫での仕分け作業や製造ラインへの配置は在留資格の範囲外となります。業務内容が変わる際も再確認が必要です。不安な場合は、入社前に出入国在留管理庁や専門家へ確認することをお勧めします。

社会保険(健康保険・厚生年金)の加入手続き

外国籍社員への社会保険適用は、日本人と同一のルールが適用されます。要件を満たす場合は必ず加入させる義務があり、国籍を理由に加入を免除することはできません。

加入要件と適用のポイント

正社員・フルタイム社員は原則として加入対象です。パート・アルバイトの外国籍社員については、従業員数によって適用ルールが異なります。従業員数51人以上の企業では、週20時間以上・月額賃金8.8万円以上・2か月超の雇用見込みなどの要件を満たすと加入対象になります(2024年10月以降)。50人以下の企業では、週の所定労働時間および月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば加入対象です。自社の従業員規模に合わせて確認してください。

手続きの流れ

入社後5日以内に「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」を管轄の年金事務所へ提出します。マイナンバーまたは基礎年金番号の記載が必要です。外国籍社員がマイナンバーを持っていない場合は、基礎年金番号での対応も可能ですが、住民票の交付を受けているかどうかを事前に確認しておくとスムーズです。

社会保障協定がある国の社員への対応

日本はドイツ・フランス・韓国・アメリカなど複数の国と社会保障協定を締結しています。本国から一時的に日本に派遣されている社員については、二重加入を避けるための免除措置が適用される場合があります。ただし、中小企業が直接雇用する外国籍社員のほとんどは「日本での就労を主目的とした在留」であり、この協定の対象外となるケースがほとんどです。該当する可能性がある場合は、年金事務所や社会保険労務士に個別確認をしましょう。

外国籍社員の手続きは法的要件が複雑で、見落とすと過料や罰則につながるケースもあります。対応に不安がある場合は、専門家への相談も早めに検討することをお勧めします。

雇用保険の加入手続きと外国人雇用状況の届出

雇用保険も国籍を問わず、要件を満たす外国籍社員には加入義務があります。加えて、雇用保険の被保険者かどうかにかかわらず、すべての外国籍労働者の雇入れ・離職時には「外国人雇用状況の届出」が必要です。

雇用保険の加入要件と手続き

週の所定労働時間が20時間以上で、かつ31日以上の雇用見込みがある場合に加入対象となります。手続きは入社翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークへ提出します。この届出には在留カード番号の記載が2019年の改正以降必須となっています。在留カード番号の記載がない場合は受理されないため、必ずカードを手元に用意した状態で手続きを進めてください。

外国人雇用状況の届出は全員対象

根拠法は「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(労働施策総合推進法)」第28条です。雇用保険に加入しないパートやアルバイトの外国籍社員であっても、雇入れ・離職の都度、ハローワークへの届出が義務づけられています。雇用保険の被保険者であれば、資格取得届・喪失届がこの届出を兼ねますが、被保険者でない社員については別途「外国人雇用状況届出書」を提出する必要があります。届出漏れには30万円以下の過料が科される可能性があるため、「雇用保険に入らないから届出も不要」という誤解には注意が必要です。

採用後に見落としがちな在留期限の管理

採用時に在留資格を確認しただけで終わりにしてしまうと、在留期限切れを見落とすリスクがあります。在留期限の管理は、採用後も継続的に行う必要があります。

在留期限切れが起きると何が問題か

在留期限が切れた状態での就労は、本人にとって「不法就労」となります。企業側も、期限切れと知りながら就労させた場合や、知らなかったとしても管理が不十分だったと判断される場合には、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。更新申請中であっても、申請がなされていない場合は法的に就労できない状態となるため、担当者が把握しておくことが重要です。

実務的な管理の方法

社内で外国籍社員の在留期限を一覧化し、期限の3か月前を目安に本人へ更新手続きの確認を行う仕組みを作りましょう。Excelや人事管理ツールに在留期限をリマインダー設定するだけでも、見落としは大きく減らせます。更新後は必ず新しい在留カードのコピーを取得し、記録を更新してください。また、業務内容が変わった際も在留資格の範囲内かを再確認する習慣をつけると安心です。

会社として整備しておくべき管理体制

外国籍社員が数名以上いる場合は、在留資格の種類・在留期限・担当業務を一覧管理する台帳を作成することをお勧めします。採用時・更新時・業務変更時の三つのタイミングで台帳を見直すルールにしておくと、担当者が変わっても引き継ぎがスムーズです。また、本人が在留更新手続きを失念しないよう、就業規則や入社時の案内に「在留期限更新の際は会社に申し出ること」を明記しておくと、双方にとって安心です。

まとめ

外国籍社員の社会保険・雇用保険の加入ルールは、基本的に日本人と同じです。ただし、在留資格の確認・業務内容との整合性チェック・外国人雇用状況の届出・在留期限の継続管理という、外国籍社員特有の対応が加わります。採用時だけで終わらず、在留期限の更新管理まで含めた仕組みを社内に作ることが、法的リスクを避ける上で重要なポイントです。

「手続きの全体像を把握していなかった」「在留期限の管理が後手に回っていた」といったケースは、専任人事がいない中小企業では珍しくありません。外国籍社員対応を含む人事労務の課題は、一社だけで抱え込まず、必要に応じて社会保険労務士や人事専門家に相談することで、企業リスクを大幅に軽減できます。ウェルセンス株式会社では、中小企業の実態に即した人事労務の課題解決をサポートしています。「何から整備すればいいかわからない」という段階からでも、ぜひお気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 外国籍社員が留学ビザ(在留資格「留学」)の場合、雇用保険に加入させないといけませんか?

A. 留学ビザの社員は資格外活動許可の範囲内(週28時間以内)でのアルバイトが一般的です。週の所定労働時間が20時間未満であれば雇用保険の加入要件を満たさないため、加入は不要です。ただし、週20時間以上・31日以上の雇用見込みがある場合は加入義務が生じます。また、雇用保険の加入有無にかかわらず、外国人雇用状況の届出はハローワークへの提出が必要です。

Q. 在留カードの番号は、どの書類に書けばいいですか?

A. 雇用保険被保険者資格取得届への記載が法令上求められています(2019年改正以降)。社会保険(健康保険・厚生年金)の資格取得届については、在留カード番号の記載は任意ですが、マイナンバーまたは基礎年金番号のいずれかは必須です。書類の記載漏れを防ぐため、採用時に在留カードのコピーを取得し、担当者が手元で確認できる状態にしておくことをお勧めします。

Q. 在留資格の確認を怠ったまま雇用してしまった場合、どうすればいいですか?

A. まず速やかに在留カードを提示してもらい、就労可否・在留期限・業務内容の適合性を確認してください。就労可能であれば、社会保険・雇用保険の手続きが未完了の場合は遡って対応が必要になるケースがあります。就労不可の在留資格だった場合や在留期限が切れていた場合は、就労を即時停止した上で、出入国在留管理庁や社会保険労務士・弁護士への相談を強くお勧めします。事態の深刻度によっては、早期の専門家相談が企業リスクを最小化する上で重要です。

Q. 外国籍社員が退職する際、特別な手続きはありますか?

A. 日本人と同様に、健康保険・厚生年金の資格喪失届と雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要です。加えて、雇用保険の被保険者であればその資格喪失届が「外国人雇用状況の届出(離職)」を兼ねます。被保険者でない外国籍社員が退職する場合は、別途ハローワークへ外国人雇用状況届出書を提出する必要があります。離職後に出国する予定がある社員については、脱退一時金(厚生年金)の請求手続きについて案内しておくと親切です。

Q. 日本語が不得意な外国籍社員と手続きを進めるとき、注意することはありますか?

A. マイナンバーの提供依頼・住民票や在留カードのコピー取得・制度説明など、日本語が前提の書類や説明が多く、コミュニケーションに時間がかかることがあります。入社時に必要な書類リストを多言語で準備しておく、または翻訳ツールを活用して重要事項を平易な言葉で伝えるなどの工夫が有効です。また、社会保険や雇用保険の制度内容は、本人が理解していないと保険証の使い方や給付申請でトラブルになることもあります。入社オリエンテーションで丁寧に説明する時間を設けることをお勧めします。

【監修】ウェルセンス株式会社
ウェルセンスは、メンタル不調者対応・休職復職支援に強い職場メンタルケアサービスです。産業医・保健師・心理士・社労士などの専門家ネットワークが、人事・管理職だけでは判断しづらいケースの初動対応、専門家連携、再発防止まで支援します。

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