「また休んでいる…でも何が原因かわからない」「声をかけたいけど、何を聞けばいいんだろう」——専任の人事担当者がいない中小企業では、欠勤が多い社員への対応をひとりで抱え込んでしまうことが少なくありません。欠勤が多い社員への対応は、放置するリスクも、踏み込みすぎるリスクも気になるもの。この記事では、欠勤パターンの見極めから面談の進め方、就業規則の活用まで、実務で使える対処法を整理します。
欠勤が続く社員への初動対応で大切なこと
「様子を見る」が一番危ない
欠勤が多い社員への対応で、多くの経営者・兼務人事担当者が最初に取る行動は「もう少し様子を見る」です。しかし、この判断が後々のトラブルを大きくする原因になりやすい。たとえばメンタル不調が背景にある場合、早期に対応していれば2〜3か月の休職で済んだものが、放置することで回復に半年以上かかるケースもあります。
また、労働契約法第5条には使用者の「安全配慮義務」が定められており、「気づいていたのに何もしなかった」という事実は、後のトラブルで会社の過失として問われることがあります。初動の遅れはリスクに直結するのです。
まず連絡を取り、「安否確認」を最初の一歩にする
初動として最初にすべきことは、責める文脈を排除した「安否確認」の連絡です。「なぜ休んでいるのか」という問い詰めではなく、「体調はいかがですか、心配しています」という姿勢で接触します。電話が難しければメールやチャットでも構いません。このとき、連絡した日時・内容・相手の反応を必ずメモや記録に残してください。後の面談設計や、万が一のトラブル時の証跡になります。
記録を残すことが会社と社員の両方を守る
初動からすべての対応を記録に残す習慣が重要です。面談の日時・内容・本人の発言・会社が取った対応。これらをメール等で本人にも共有しておくと、「そんな話は聞いていない」という後日のトラブルを防げます。記録がないと、誠実に対応していたとしても証明できなくなるのです。
欠勤パターンで変わる対応フロー
急性型:突然の長期欠勤
ある日突然「しばらく休みます」という連絡が入り、そのまま長期欠勤に移行するケースです。うつ病や適応障害の発症が背景にあることが多く、このパターンは特に慎重な対応が必要です。まず医療機関への受診状況を確認し、診断書の提出を依頼します(就業規則に提出義務の規定がある場合、根拠として示す)。無理に出社を促したり、業務の進捗を細かく追い続けることは避けてください。本人の回復を最優先に考え、休職制度への移行を視野に入れた対応を進めます。
断続型:月に数回・特定曜日に休む
月に3〜5回、あるいは「月曜日だけ休む」というように、断続的に欠勤が多い社員の対応として繰り返されるパターンです。出社困難や職場でのストレスのサインであることが多く、本人も「理由を言えない」状態になっていることがあります。このパターンでは、早めに1対1の面談を設定することが重要です。責める文脈ではなく「最近の体調やお仕事の状況を教えてください」という切り出し方で、背景にある要因の把握を優先します。
慢性型:以前から続く遅刻・欠勤
入社当初から欠勤が多い、または数年前から徐々に増えてきているケースです。慢性疾患、生活習慣の問題、あるいはモチベーション低下など、背景はさまざまです。このパターンでは、「業務上の支障」という観点からも対応を進める必要があります。就業規則上の欠勤日数・ルールを整理した上で、面談を通じて現状を共有し、改善に向けた具体的な合意を形成することが求められます。
欠勤社員との面談で何を聞くか
面談の目的は「責める」ではなく「把握する」
面談の最大の目的は、欠勤の背景を正確に把握することです。「なぜ休んでいるのか」という問い方は、本人を追い詰め、事実を隠させる原因になります。「最近の体調はいかがですか」「仕事の面で何か気になることはありますか」という問いかけから始め、本人が話しやすい雰囲気を作ることが先決です。1回の面談で全てを解決しようとせず、複数回に分けて情報を積み上げていくアプローチが現実的です。
聞いていいこと・踏み込みすぎになること
傷病の内容、とくに精神疾患に関する情報は「要配慮個人情報」(個人情報保護法第2条第3項)に該当します。業務上必要な範囲を超えた詳細な病名の確認や、プライベートな生活状況への深い立ち入りは控えてください。確認してよい情報の例としては、「業務への支障の有無」「通院・治療の状況(詳細な病名は不要)」「診断書の提出が可能かどうか」などです。「パワハラになるか不安」という声もよく聞きますが、配慮ある姿勢で業務上の確認を行うこと自体はハラスメントにはなりません。
面談後に必ずやること
面談後は、話し合った内容・確認した事項・次のアクション(例:1週間後に診断書を提出する、来週また面談をする)をメールや書面で本人に共有します。口頭だけで終わらせると、後から「そんな約束はしていない」というすれ違いが起きます。また、面談の記録を社内でも保管し、複数人(上長と担当者など)で情報を共有する仕組みを作ることで、対応が属人化するリスクを下げられます。
就業規則の欠勤・休職規定を実務で使うには
「規定はあるが使えていない」状態を解消する
「就業規則に欠勤〇日で休職命令という条文はある。でも実際にどのタイミングでどう動けばいいかわからない」——これは中小企業でよく聞く状況です。就業規則はあくまで「ルールブック」であり、実際の運用フローに落とし込まれていないと機能しません。たとえば「連続欠勤30日で休職命令」という規定があるなら、20日時点でどんな確認をするか、25日時点で何の書類を出してもらうか、という具体的な手順を内部で整備する必要があります。
休職制度の位置づけと注意点
休職制度は法律で義務付けられた制度ではなく、就業規則で設計する任意制度です。ただし、「制度があったのに適用しないまま解雇した」「制度がなかったために配慮なく解雇した」というケースはいずれもトラブルの原因になります。特にメンタル不調が背景にある場合、休職制度を経ずに解雇することは、解雇権濫用(労働契約法第16条)として無効とされるリスクがあります。欠勤が多い社員への対応では、「休職という選択肢を本人に示したか」という点が後の評価において重要な判断基準になります。
診断書の取り扱いと医療連携の基本
「受診してほしい」と伝えることは問題ありませんが、「必ず病院に行け」と強制することはできません。ただし、就業規則に「欠勤が〇日以上続く場合、診断書の提出を求めることができる」という規定があれば、診断書の提出を依頼することは適法です。産業医が選任されている場合(常時50人以上の事業所では選任義務あり)は、産業医面談と連携することで、より適切な判断と対応ができます。産業医がいない場合は、外部の産業保健の専門機関に相談する方法もあります。
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「辞めさせたいわけではないが、このままにもできない」への向き合い方
解雇は「最後の手段」であり、手順が必要
欠勤が多い社員に対して、「解雇できないか」と考える経営者は少なくありません。しかし欠勤を理由とした解雇は、合理的な理由と社会通念上の相当性がなければ無効です(労働契約法第16条)。とくに病気・メンタル不調が背景にある場合は、休職制度を適用し、復職の可能性を検討する機会を与えることが先に求められます。「何も手を打たずに解雇した」という事実は、裁判や労働審判において会社に不利な材料になります。
復職を見据えた対応フローを設計する
欠勤・休職の対応は「休ませる」で終わりではなく、復職に向けた計画まで含めて設計することが重要です。主治医の意見書、産業医の判断、本人の意向、業務上の受け入れ態勢——これらを整理した「復職支援プラン」を作成することで、会社と本人の双方が安心して次のステップに進めます。復職後の業務調整(業務量の段階的な回復、在宅勤務の活用など)も含めて計画することで、再発・再休職のリスクも下げられます。
「記録と対話」が会社と社員の両方を守る
欠勤対応で最も重要な姿勢は、「誠実に、記録を残しながら対話し続けること」です。解雇・退職を急ぐのではなく、会社として取れる配慮をきちんと提示し、その過程を記録に残す。この積み重ねが、最終的にどのような結果になったとしても、会社としての対応の正当性を示す根拠になります。一方で、業務への支障が明らかである場合、その事実も客観的に記録し、改善を求めたプロセスも残しておくことが重要です。
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まとめ
欠勤が多い社員への対応は、「様子を見る」ではなく「早期に動く」ことが基本です。まず欠勤のパターンを見極め、次に安否確認を起点とした面談を設計し、就業規則の規定を実務フローに落とし込む——この流れを整えることで、会社と社員の両方にとって納得感のある対応が可能になります。
とはいえ、「何が適切な対応かわからない」「面談で何を聞けばいいか不安」という状況は、専任人事がいない中小企業では当然のことです。ウェルセンス株式会社では、欠勤・メンタル不調・休職復職対応に関する相談を、経営者・兼務人事担当者の方から日々お受けしています。欠勤が多い社員への対応について「うちの場合はどうすればいいか」という個別の状況についても、具体的な初動の整理からご一緒できます。まずはお気軽にご相談ください。
よくある質問
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