復職面談の同席者選定|誰を呼ぶべきかの判断ポイント

復職面談の同席者選定|誰を呼ぶべきかの判断ポイント 休職・復職対応
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「復職面談、誰を呼べばいいんだろう」――専任の人事担当者がいない中小企業では、こうした悩みを抱えながら面談を進めているケースが少なくありません。復職面談の同席者選定を誤ると、本人の不信感を招いたり、二次被害につながったりするリスクがあります。この記事では、復職面談の同席者をどのように選ぶべきか、企業規模や状況別に実務的な判断ポイントをわかりやすく解説します。

復職面談の「同席者問題」が起きる理由

面談の目的が場ごとにブレている

復職面談は一度きりではありません。厚生労働省の「職場復帰支援の手引き」では、職場復帰支援を5つのステップに整理しており、それぞれのフェーズで面談の目的が異なります。たとえば「復職可否を判断する面談」と「復職後の業務調整を決める面談」では、必要な同席者がまったく違います。にもかかわらず、毎回同じメンバーを呼んでしまうと、情報開示の範囲が広がりすぎたり、逆に判断に必要な情報が集まらなかったりします。

中小企業特有の「人がいない」問題

20〜50名規模の企業では、産業医は月1回の訪問、人事は兼務、社労士は外部委託という構成が一般的です。大企業向けのガイドラインをそのまま適用しようとすると、「産業医・人事・主治医・上司・本人の5者が揃う面談」が設計上求められても、現実には実現できません。限られたリソースの中で「誰が何の役割を担うか」を整理することが、中小企業における復職面談設計の出発点です。

「誰を呼ぶか」の判断が感覚的になりがち

復職面談は「業務上の意思決定の場」でもあり、「本人の心理的安全を確保するケアの場」でもあります。この二面性があるため、同席者の選定が感覚的になりやすく、「とりあえず直属上司も呼んでおこう」「社長が顔を出しておいた方が本人も安心するだろう」といった判断が先行してしまうことがあります。

フェーズ別・同席者の基本構成

復職可否を判断する面談

厚生労働省の手引きでいう「職場復帰の可否判断と復職支援プランの作成」が、同席者の構成が最も複雑になるフェーズです。このフェーズでは、以下の役割をカバーする人材が必要です。

まず医療・健康面の評価として「産業医(またはそれに準じる医療職)」が必要です。次に労務・制度面の調整として「人事担当者(兼務でも可)」が担います。そして現場の業務実態を把握する人として「直属上司」が候補に上がります。ただし、後述するハラスメントが絡む場合は上司の参加を慎重に検討する必要があります。

中小企業で産業医がいない場合は、主治医からの情報提供書(診断書・意見書)を活用し、必要に応じて社外のEAP(従業員支援プログラム)や社労士に同席を依頼する方法が現実的です。

復職後フォロー面談

職場復帰から1〜3か月の間に行うフォロー面談では、「本人の状態確認」と「業務負荷の調整」が目的です。このフェーズでは、人事と直属上司に加えて、できれば産業医または産業保健師が関与することが望ましいです。ただし、復職直後は本人の疲労も大きいため、参加人数は最小限にとどめ、「話しやすい場」を優先することが重要です。

復職直前の条件すり合わせ面談

勤務時間・業務内容・配置などの具体的な条件を決める面談では、意思決定権を持つ人(人事または経営者)と、現場の受け入れ環境を把握している人(直属上司またはチームリーダー)が中心になります。このフェーズでは医療的な判断はすでに済んでいるため、産業医の同席は必須ではありません。面談の目的を事前に本人に伝え、「今日は勤務条件を決める場です」と明示することで、本人の心理的負担を下げることができます。

ハラスメントが絡む場合の同席者判断

加害者(疑いのある者)を面談に呼ぶリスク

休職原因がパワハラ・モラハラなどのハラスメントである場合、その当事者または疑いのある人物を復職面談に同席させることは、本人に対する「二次被害」になる可能性があります。労働契約法第5条の安全配慮義務に基づき、使用者は労働者の心身の健康を害さないよう配慮する義務があります。加害者の同席を無理に進めた結果、本人が面談を拒否したり、復職そのものが遠のいたりした事例も報告されています。

2020年に施行された改正労働施策総合推進法(パワハラ防止法)では、企業に対して相談対応・再発防止措置を義務づけています。面談の設計自体が「再発防止措置の一環」として問われる場面もあるため、記録を残しながら慎重に対応することが必要です。

「あの人は外してほしい」という要求への対応

本人や家族から「直属上司は同席させないでほしい」「社長がいると話せない」といった要望が来るケースがあります。この場合、要求の全部を受け入れる必要はありませんが、「なぜそう感じるのか」の背景を丁寧に確認することが先決です。

対応の基本フローとしては、まず本人の懸念を傾聴し記録に残すことが出発点です。次に、同席が必要な理由(業務調整・意思決定)を本人に説明し、理解を求めます。どうしても同席が難しい場合は、段階を分けて「条件確認の場」と「業務引き継ぎの場」を別々に設けることも選択肢です。要求内容とその対応は必ず文書で記録し、「会社として検討した事実」を残しておくことが、後々のトラブル防止につながります。

代替案としての「外部第三者の活用」

社内の人間関係が複雑な場合、外部のEAPカウンセラーや社労士を面談に同席させることで、中立的な立場の確保と本人の安心感の両立が図れます。ウェルセンス株式会社のような外部支援機関が面談に関与することで、「会社側の人間しかいない」という圧迫感を和らげる効果もあります。

情報管理の観点から同席者を絞る

健康情報は「要配慮個人情報」

休職者の病名・治療内容・処方薬などは、個人情報保護法上の「要配慮個人情報」に該当します。厚生労働省の「雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン」でも、健康情報の取り扱いには特段の注意が求められています。同席者が増えるほど情報漏えいのリスクが高まるため、「この面談で何を共有するのか」を事前に明確にしておくことが重要です。

上司に伝えていい情報・いけない情報

直属上司を面談に同席させる場合、原則として「病名」は伝えません。伝えるべきは「業務遂行上の制限事項」のみです。たとえば「残業は当面禁止」「電話対応は避ける」「週3日からのスタート」といった具体的な条件です。病名を上司に伝えてしまうと、その情報がチーム内に広まり、本人が職場に戻りにくくなるケースがあります。情報の開示範囲は「業務上必要な最小限」を原則とし、同席者全員に事前に伝えておくことが不可欠です。

同席者リストと情報共有範囲は文書で管理する

誰が何の面談に同席し、どの情報を共有したかを記録に残すことは、会社を守るためにも重要です。トラブルが発生したときに「適切な手順を踏んでいた」ことを示す証拠になります。簡単なフォーマットでよいので、面談日・参加者・共有した情報の範囲・決定事項を記録する習慣をつけましょう。

中小企業向け・実務チェックリスト

面談前に確認すべき5項目

復職面談の準備段階で、以下の点を確認しておくと同席者の選定がスムーズになります。

  • 今回の面談の目的は何か(復職可否の判断か、条件の確認か、フォローアップか)を明確にする
  • 休職原因にハラスメントや人間関係のトラブルが含まれていないかを確認する
  • 本人が同席者について要望を持っていないかを事前に確認する
  • 共有する情報の範囲(病名は伝えない等)を同席者全員に事前説明できるかを確認する
  • 面談内容を記録・保管できる体制が整っているかを確認する

同席者の「役割の重複」を避ける

中小企業では兼務が多いため、「社長=経営者兼人事担当」というケースもあります。このとき、社長が同席すると「会社側の圧力」として本人に受け取られるリスクがあります。可能であれば、社長は意思決定のフェーズのみに限定し、日常的なフォロー面談には現場の上司や兼務人事担当者が対応する形が望ましいです。「誰が出るか」だけでなく、「その人が何の役割で出るか」を明確にしておくことが、面談の質を左右します。

外部支援者を「補完的に」活用する

産業医がいない・人事専任がいないという場合でも、社労士・EAPカウンセラー・外部の復職支援機関を活用することで、面談の質を担保できます。特に、ハラスメント絡みの休職や、長期休職(3か月以上)のケースでは、外部の専門家が関与することで、本人との信頼関係の構築と、会社の中立性の確保が同時に実現しやすくなります。

まとめ

復職面談の同席者選定は、「誰でもいい」ではなく「何の目的で、どの情報を、誰と共有するか」を軸に考えることが重要です。フェーズ(復職可否判断・条件すり合わせ・フォロー)によって最適な構成は変わります。ハラスメントが絡む場合は加害者の同席を避け、外部の中立的な支援者を活用することも有効な選択肢です。また、健康情報の共有範囲は「業務上必要な最小限」を原則とし、同席者と事前に認識を揃えておくことが不可欠です。

「うちの規模でどう対応すればいいかわからない」「今まさにハラスメント絡みの休職者の復職対応を抱えている」といった状況では、一人で判断を抱え込むことで対応に後悔が残ることもあります。ウェルセンス株式会社では、20〜50名規模の企業を対象に、復職面談の設計から同席支援まで実務に寄り添ったサポートを提供しています。お困りの際は、まずお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 産業医がいない中小企業では、誰が医療面の判断を担えばいいですか?

A. 産業医がいない場合は、主治医からの診断書・意見書を活用するのが基本です。必要に応じて、主治医への情報提供依頼書を会社から送付し、「業務上の制限事項」について書面で回答してもらう方法が現実的です。また、外部のEAPや産業保健総合支援センター(無料相談窓口)を活用することで、専門的なサポートを受けることもできます。

Q. 本人から「直属上司を外してほしい」と言われました。どう対応すればいいですか?

A. まず、なぜそう感じるのかを丁寧に確認し、その内容を記録に残してください。上司が休職原因に関与している場合は、同席を見送ることが安全配慮義務の観点からも適切です。一方、業務調整上どうしても上司の情報が必要な場合は、面談を「本人との対話フェーズ」と「上司との業務確認フェーズ」に分けて実施する方法も有効です。

Q. 社長が直接面談に出ることは問題ありますか?

A. 問題があるわけではありませんが、本人にとって「経営者が出てきた=重大な問題になっている」と感じさせ、心理的プレッシャーになる場合があります。社長の同席は、最終的な復職条件の決定など意思決定が必要な場面に限定し、日常的なフォロー面談には兼務人事担当者や現場の上司が対応する形が望ましいです。

Q. 上司に病名を伝えてしまいました。今後どう対応すればいいですか?

A. まず、上司に対して「この情報はチーム内で共有しないよう」厳重に伝え、その指示を記録に残してください。本人には、情報の扱いについて誠実に説明し、今後の情報管理方針を明確にすることが信頼回復につながります。今後は「病名は伝えない・業務上の制限事項のみ伝える」というルールを社内で明文化することをお勧めします。

Q. 復職面談の記録はどのように残せばいいですか?

A. 面談日時・参加者・話し合われた内容・決定事項・次回面談の予定を記載したシンプルなフォーマットで十分です。記録は本人・人事・上司など関係者に確認してもらい、署名または承認を得ておくとトラブル防止になります。保管先は人事管理システムや鍵のかかるキャビネットなど、アクセス制限のある場所に限定し、健康情報として厳重に管理してください。

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【監修】ウェルセンス株式会社
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