1on1面談で社員が話さない時の問いかけ方

1on1面談で社員が話さない時の問いかけ方 採用・定着
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「最近どうですか?」と聞くと、「特にないです」「大丈夫です」で会話が終わってしまう。面談の時間をとったのに、なぜか話が続かない——こんな経験、1on1面談を始めたばかりの経営者や人事担当者ほど感じやすいものです。実は問題は社員のやる気や性格ではなく、「場の設計」と「問いの言葉」にあることがほとんどです。この記事では、社員が自然と話し始める1on1面談の問いかけ方を、具体的な言葉と構造で解説します。

社員が面談で話さない本当の理由

社員が黙ってしまう最大の原因は、「この場で本音を言っても安全だ」という確信が持てていないことです。問いの言葉を変える前に、まずこの前提を理解しておく必要があります。

評価への恐れが本音を封じる

20〜50名規模の企業では、経営者や上司が面談相手であり、かつ評価者であることが多いのが実情です。社員は「ここで悩みを打ち明けたら、仕事ができない人間だと思われるのでは」「不満を言ったら評価が下がるのでは」という防衛本能が働きます。これは性格の問題でも、やる気のなさでもありません。人間として当然の自己防衛です。

だからこそ、面談の冒頭で「今日は評価とはまったく関係なく、あなたの話を聞くための時間です」と明言するだけで、社員の表情が変わることがあります。小さな一言ですが、場の安全性を宣言することには大きな効果があります。

面談が「指示の場」になっている

もう一つよくあるパターンが、経営者側が準備した話題を30分しゃべり続けてしまうケースです。社員は聞き役に徹し、面談後に「また言われた」という感覚だけが残ります。これでは社員にとって面談は「呼び出され、話を聞かされる時間」になってしまい、自分の意見を言う余地がありません。

1on1面談は社員が話す場です。経営者の発言割合は全体の30%以下を目安にするとよいでしょう。「話す」より「聞く」に徹することが、まず第一歩です。

「目標を言語化する習慣」がそもそもない

「あなたはどうなりたいの?」と聞いてもキャリアビジョンが出てこない社員に、経営者は「やる気がない」と感じがちです。しかし実際には、「考えたことがない」「言葉にしたことがない」だけのケースがほとんどです。日々の業務に追われている社員が、自分の未来を自発的に言語化する機会はほとんどありません。面談はそのトレーニングの場でもあります。

「聞く構え」を整えることが、問いより先にある

問いの言葉を工夫する前に、経営者自身の「聞く姿勢」を整えることが最優先です。どんな質問も、聞く側の態度が整っていなければ機能しません。

沈黙を怖れない

社員が黙ると、経営者はすぐ「たとえば〜」「つまり〇〇ってこと?」と言葉を足したくなります。しかしその「助け舟」が、社員の思考を上書きしてしまいます。沈黙は「考えていない」サインではなく、「今、自分の言葉を探している」サインです。最低でも5〜7秒は待つことを意識してください。

この「待つ」という行為は、実践してみると想像以上に難しく感じます。最初は7秒でも「長い」と感じるはずです。しかし、その沈黙の後から出てくる言葉に、社員の本音が詰まっていることが多いのです。

「批判しない」を態度で示す

社員が何かを話した時に、「それは違う」「なんでそう思うの」と反射的に返してしまうと、社員は「やはり言わないほうがよかった」と学習します。問いへの答えに対して、まずは「そうか、そう感じていたんだね」と受け取ること。同意しなくていいので、まず受容する。この応答パターンを繰り返すことで、社員は少しずつ「ここなら話せる」という体感を積み重ねていきます。

社員の言葉を引き出す問いかけの設計

「はい・いいえ」で終わる質問は思考を止め、自分の言葉で答えざるを得ない質問は思考を促します。この違いを意識するだけで、面談の質は大きく変わります。

クローズドとオープン、問いの構造を知る

「うまくいっていますか?」は「はい」か「いいえ」で終わります。これをクローズドクエスチョンといいます。一方、「最近の仕事の中で、一番手応えを感じた場面はどんなときでしたか?」という問いは、社員が自分の経験を振り返り、言葉を選んで答える必要があります。これがオープンクエスチョンです。

「過去の事実」から入るのがポイントです。「将来どうなりたいですか?」と未来から入ると、答えに詰まりやすい。まず「最近どんな仕事が楽しかったか」を聞き、そこから「それはなぜそう感じたと思う?」「それが続いている仕事があるとしたら、どんな状態が理想?」と未来へ橋渡しするのが効果的な流れです。

具体的な問いかけの言葉

以下に、実際の面談で使いやすい問いの例をまとめます。状況に応じて組み合わせてみてください。

  • 「最近の仕事で、一番気になっていることは何ですか?」
  • 「この1ヶ月でうまくいったと感じた仕事を教えてください」
  • 「その時、何が一番難しかったと思いますか?」
  • 「もし時間が十分にあったとしたら、今の仕事で何を変えてみたいですか?」
  • 「私(経営者・上司)に、もっとこうしてほしいということはありますか?」
  • 「今日の話の中で、自分で動いてみようと思うことはありますか?」

最後の問いが特に重要です。面談の締めに「次にあなた自身が動いてみること」を社員自身に言葉にしてもらうことで、「言ったことへの責任」が生まれ、自走の第一歩につながります。

「言語化できない社員」への関わり方

どんな問いを出しても言葉が出ない社員には、選択肢を添える方法が有効です。「最近の状態を色で表すとしたら、何色ですか?」「今のチームの雰囲気、10点満点で何点くらいですか?」のように、抽象的な問いに具体的なフレームを与えることで、答えるとっかかりができます。点数や色を出してもらった後、「なんでその色だと思いましたか?」と掘り下げることで、自然と言語化が始まります。

面談の時間構造を設計する

30分の1on1面談を機能させるには、時間の使い方を事前に設計しておくことが必要です。行き当たりばったりでは、気づけば経営者の話で終わってしまいます。

4つのフェーズで組み立てる

フェーズ 内容 目安時間
オープニング 場を温める・前回の振り返り 5分
現在地の確認 最近の仕事・体調・状態を聞く 10分
深掘り 本人の考え・気になりを引き出す 10分
前進確認 次のアクションを本人が決める 5分

前回の内容を必ず引き継ぐ

「先月、資料作成が大変だって言っていたけど、あれはどうなりましたか?」この一言が、社員に「覚えていてもらえた」という信頼感を与えます。逆に毎回ゼロから同じ話を繰り返していると、社員は「話しても意味がない」と感じます。

面談後にメモを残す習慣をつけることが大切です。専用ツールは不要で、日付・話したこと・次回確認すること、この3点をシンプルにメモするだけで十分です。20〜50名規模であれば、Googleスプレッドシートや共有ノートで管理する会社も多く、まずは続けることを優先して仕組みはシンプルに保つのが現実的です。

面談を通じて社員が自走するプロセス

自走とは「放任する」ことではなく、社員が「自分で考え、自分で選び、自分で動く」サイクルを繰り返すことです。そのためには、面談という場での「思考の訓練」を積み重ねることが必要です。

答えを渡さず、問いを渡す

困っている社員に対して、経営者がすぐ解決策を出してしまうと、社員は「答えをもらう場所」として面談を捉えるようになります。これは自走の真逆です。「あなただったらどうすると思う?」「今考えられる選択肢を挙げてみるとしたら?」のように、まず社員自身に考えてもらう。経営者の役割は答えを出すことではなく、考える機会を提供することです。

面談で浮かぶ疑問や対応方法について、一人で判断に迷う場面もあるでしょう。そうした際は専門家への相談も有効な選択肢のひとつです。

小さな「自分で決めた」を積み重ねる

面談の最後に、「では次回までに自分でやってみることは?」と問い、社員自身に宣言させることが重要です。経営者が「これをやってください」と指示するのではなく、社員が自分の言葉で「これをやります」と言う体験を積み重ねることで、自律的な行動習慣が形成されていきます。

最初は些細なことでかまいません。「週報をもう少し早く出してみます」「〇〇さんに自分から声をかけてみます」でも、「自分で決めた」という経験そのものに意味があります。これを毎月1回の面談で繰り返すことで、3ヶ月〜半年をかけて社員の自走傾向が育っていきます。

規模や状況による対応の分岐

経営者が評価者を兼ねている場合は、1on1面談と評価面談を明確に分けて実施することを強くおすすめします。同じ日・同じ場で両方を行うと、社員は混乱し防衛モードになります。専任人事がいない場合でも、「今月は1on1面談だけ」「3ヶ月後の評価面談は別日に」と日程を分けるだけで効果が大きく変わります。また、メンタル不調の兆候が見える社員に対しては、1on1面談を傾聴の場として活用しつつ、専門的なサポート(産業医・外部EAP等)との連携を並行して検討することが必要です。1on1面談はあくまで「通常業務における関係構築の場」であり、不調対応の専門的な介入とは分けて考える必要があります。

まとめ

社員が面談で話さない原因は、「やる気がない」のではなく、「話せる場だと感じていない」ことがほとんどです。まず評価との切り分けを宣言し、経営者が聞く姿勢を整えること。その上で、過去の経験から入るオープンクエスチョンを使い、沈黙を恐れずに待つ。面談の4フェーズを意識しながら、毎回前回の内容を引き継ぎ、社員自身が「次に動くこと」を言葉にする習慣をつくる。この積み重ねが、自走できる社員を育てる土台になります。

面談の設計から実運用まで、人事対応をすべて一人で抱える必要はありません。社員のメンタル面での懸念や、1on1の進め方について判断に迷う際は、ウェルセンス株式会社に相談いただくことで、実務的なアドバイスと並行的なサポートが可能です。

よくある質問

Q. 1on1面談はどのくらいの頻度で行うのが適切ですか?

A. 月1回・30分を目安にするとはじめやすいです。週1回が理想とされる場合もありますが、専任人事のいない中小企業では負荷が高くなりすぎます。まずは月1回を確実に続けることを優先し、社員との関係が深まってきたら頻度を見直すのが現実的なアプローチです。

Q. 社員が「特にないです」としか言わない時、どうすればいいですか?

A. 「特にない」は、まだ話せる場だと感じていないサインです。まず評価と無関係であることを明示し、「最近の仕事で、一番時間がかかったことは何ですか?」のように過去の具体的な出来事から入る質問に切り替えてみてください。すぐに変わらなくても、毎回同じ姿勢で接することが信頼の積み重ねになります。

Q. 1on1面談と評価面談は同じ日にやってもいいですか?

A. 同じ日・同じ場での実施は避けることをおすすめします。評価面談が入ると、社員は途端に防衛モードになり、本音が出にくくなります。日程を分けるだけで効果は大きく変わります。どうしても日程的に難しい場合は、「今日の前半は評価面談、後半は別の話」と明確に区切って進行することを意識してください。

Q. 面談中に社員がメンタル不調のサインを見せた場合はどうすればいいですか?

A. 1on1面談の場で無理に深掘りしようとするのは避けてください。「最近、少し疲れているように見えるけど、大丈夫ですか?」と穏やかに確認し、必要であれば「専門家に話を聞いてもらうのもひとつの方法だよ」と伝えることが適切です。産業医が選任されていない規模の企業であれば、外部のメンタルヘルス支援サービスとの連携を検討することをおすすめします。

Q. 面談記録はどのように管理すればいいですか?

A. 専任人事がいない企業では、シンプルな管理が継続のコツです。日付・主な話題・次回確認事項の3点をGoogleスプレッドシートやメモアプリに記録するだけで十分です。大切なのは「次の面談で必ず前回を振り返る」という運用を徹底することです。記録の精度より、継続性を優先して仕組みを設計してください。

【監修】ウェルセンス株式会社
ウェルセンスは、メンタル不調者対応・休職復職支援に強い職場メンタルケアサービスです。産業医・保健師・心理士・社労士などの専門家ネットワークが、人事・管理職だけでは判断しづらいケースの初動対応、専門家連携、再発防止まで支援します。

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