外国人スタッフを採用したとき、「在留カードを見せてもらったから大丈夫」と思っていませんか。実は、有効期限だけ確認して終わりにしているケースが非常に多く、就労できる業務内容や週の上限時間まで把握できていないまま雇用が始まってしまっています。確認が不十分だと、雇用主側も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。この記事では、外国人雇用における在留資格確認の具体的な手順を、実務担当者の目線でわかりやすく整理します。
在留カード確認で「なんとなく見た」が一番危ない
有効期限だけでは確認したことにならない
在留カードには、有効期限のほかに「在留資格の種類」「就労制限の有無」「資格外活動許可の有無」など、就労可否を判断するうえで欠かせない情報が記載されています。有効期限だけを確認して「OK」と判断してしまうのは、カードの一部しか見ていないのと同じです。たとえば、在留資格が「留学」の場合、有効期限内であっても原則として就労はできません。資格外活動許可がなければ、そのまま雇用することは不法就労の助長にあたります。
在留資格確認で必ずチェックすべき6つの項目
在留カードを確認するときは、以下の6項目を必ずチェックする習慣をつけてください。
- 在留カードの有効期限:カード自体の有効期限が切れていないか確認します。
- 在留資格の種類:「技術・人文知識・国際業務」「留学」など、どの在留資格で日本にいるのかを確認します。
- 就労制限の有無:表面の「就労制限の有無」欄に「就労不可」「在留資格に基づく就労活動のみ可」などの記載があるかを確認します。
- 在留期限:カードの有効期限ではなく、「在留期限」が切れていないかを確認します。「更新中」のシールが貼られている場合は、その意味を理解した対応が必要です。
- 資格外活動許可の有無:裏面で「資格外活動許可(就労制限あり)」などの許可欄を確認します。
- カードの真偽確認:出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリ」を活用してICチップを読み取り、偽造・変造がないか確認します。
カードの偽造・変造が増えている現状では、目視だけでの確認には限界があります。アプリはスマートフォンで無料で利用でき、数秒でICチップを読み取ることができます。
紹介会社経由でも確認義務は免除されない
「人材紹介会社が確認しているはず」という思い込みは危険です。雇用主には独自の確認義務があり、紹介会社の確認をもって自社の義務が免除されるわけではありません。派遣スタッフを受け入れる場合も同様で、派遣元が確認していたとしても、派遣先として在留資格の状況を把握しておく責任があります。技能実習生や特定技能人材の場合は、監理団体・登録支援機関との役割分担を明確にしたうえで、自社としての管理体制を整えることが求められます。
在留資格の種類と就労可否の判断ロジック
業務制限なしで就労できるカテゴリー
在留資格は大きく3つのカテゴリーに分けて考えると整理しやすくなります。まず「就労制限なし」のカテゴリーです。永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者が該当し、業種や職種を問わずフルタイムで就労できます。これらの資格を持つ方を採用する場合、業務内容による就労制限を気にする必要はありません。ただし、永住者を除き、在留期限の管理は引き続き必要です。
在留資格の範囲内でのみ就労できるカテゴリー
次に「在留資格の範囲内でのみ就労可」のカテゴリーです。「技術・人文知識・国際業務」「技能」「特定技能」「企業内転勤」などが該当します。このカテゴリーでは、従事できる業務内容が在留資格の種類によって定められており、採用する職務内容との整合性確認が必須です。
たとえば「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ方を、単純な製造ラインの作業員として雇用することはできません。採用時の職務記述書と在留資格が整合しているかを確認することが大切です。判断に迷う場合は、出入国在留管理庁に事前相談することをおすすめします。
原則就労不可だが許可で就労できるカテゴリー
「留学」「家族滞在」などは原則就労不可ですが、資格外活動許可を取得していれば週28時間以内(在学期間中)のアルバイト就労が認められます。許可の有無は在留カードの裏面で確認できます。
ここで重要な注意点があります。週28時間という上限は複数の勤務先を合算した時間であることです。たとえば、別のアルバイトをすでに掛け持ちしている場合、自社での就労時間が週28時間以内であっても、合算すると上限を超えるケースがあります。採用時に本人から他の勤務先の有無や勤務時間を申告してもらい、記録に残しておくことが大切です。
ハローワーク届出は全事業主に義務がある
届出義務の根拠と対象者
外国人を雇い入れた場合、または離職した場合、事業主はハローワーク(公共職業安定所)への届出が義務付けられています。根拠は労働施策総合推進法第28条で、会社の規模にかかわらず、すべての事業主が対象です。
届出が必要な対象者は「特別永住者」「在留資格が外交または公用の方」を除くすべての外国人労働者です。正社員・パート・アルバイトを問いません。知らなかったでは済まされず、届出をしなかった場合や虚偽の届出をした場合は30万円以下の罰金が課されます。
届出の期限と方法
届出の期限は、雇い入れまたは離職の翌月末日までです。たとえば4月15日に採用した場合は5月31日が期限になります。
届出方法は雇用保険の被保険者かどうかで異なります。
- 雇用保険に加入する場合(週20時間以上など):資格取得届・喪失届の所定欄に外国人に関する情報(在留資格・在留期限・国籍・在留カード番号等)を記載することで届出を兼ねられます。
- 雇用保険の被保険者でない場合(週20時間未満のアルバイトなど):「外国人雇用状況届出書」を別途ハローワークに提出する必要があります。
この「被保険者でない場合の別途届出」を知らずに漏らしているケースが中小企業では特に多いので注意が必要です。
届出漏れを防ぐための仕組みづくり
採用・離職のたびに担当者が記憶で対応しようとすると、繁忙期などに届出が漏れるリスクがあります。外国人スタッフの採用・離職が発生した際に自動的に届出手続きが発動するよう、採用フローの中にハローワーク届出のステップを組み込んでおくことが有効です。
たとえば「雇用契約書の締結」の次のステップとして「ハローワーク届出の期限をカレンダーに登録」という作業を標準化するだけでも、漏れを大幅に防ぐことができます。担当者が代わった場合でも同じ品質で対応できる仕組みが、リスク軽減の基本です。
在留期限が迫っているスタッフへの対応
「更新申請中」の期間でも就労は継続できる
在留期限が近づいている外国人スタッフへの対応に悩む担当者は少なくありません。まず知っておきたいのは、在留期限の満了日までに更新申請を行っている場合、処分(許可または不許可)が下りるまでの間、最長2ヶ月間は従前の在留資格のまま就労を継続できるという制度(みなし在留)です(入管法第20条第5項)。
つまり、在留カードの有効期限が切れていても、更新申請中であることが確認できれば、ただちに就労を止める必要はありません。ただし、更新申請を行わずに期限を超過した場合は別です。
会社側が行うべき管理と準備
みなし在留の期間中も、会社側はスタッフの状況を継続的に把握しておく責任があります。更新申請の進捗を本人から定期的に確認し、処分結果が出た時点で在留カードの内容を再度確認することが必要です。
また、万が一更新が不許可になった場合に備えて、以下を事前に決めておくことが重要です。
- 就労をいつ停止するか
- 代替要員をどう手配するか
- 本人へはどのように伝えるか
不許可が判明してから慌てて対応しようとすると、業務上の混乱と法的リスクが重なることになります。
在留期限の一元管理が現場を守る
複数の外国人スタッフを雇用している場合、それぞれの在留期限を個別に管理していると見落としが発生しやすくなります。全員の在留期限を一覧化した管理表を作成し、期限の3〜6ヶ月前にアラートが立つ仕組みを整えておくと、担当者が余裕を持って対応できます。
エクセルやスプレッドシートで十分運用可能で、以下の情報を記載しておくと役立ちます。
- スタッフの氏名と在留カード番号
- 在留期限(終了日)
- 在留資格の種類
- 更新申請予定日
- アラート日(期限の6ヶ月前など)
更新漏れによる「気づいたら在留期限が切れていた」という事態を未然に防ぐことができます。
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不法就労助長罪のリスクを正しく理解する
「知らなかった」は原則として免責されない
不法就労助長罪は、外国人本人だけでなく、就労させた雇用主にも適用されます。入管法第73条の2に基づき、3年以下の懲役または300万円以下の罰金が科される可能性があります。
問題は「知らなかった」「確認したつもりだった」という主張が、原則として免責事由にならない点です。在留カードを確認したうえで就労させたが、実際には就労が認められない資格だったという場合でも、確認が不十分であれば責任を問われるリスクがあります。雇用主としての確認義務を果たしていたことを証明できる記録を残しておくことが大切です。
確認記録の保存が自社を守る
実務上、採用時に在留カードの写しを取得し、ファイリングしておくことが有効な対策になります。いつ・誰が・何を確認したかを記録に残しておくことで、万が一の際に雇用主としての義務を果たしていたことを示す証拠になります。
おすすめの運用方法は以下の通りです。
- 在留カード写しの保存:表面・裏面の両方をA4用紙に印刷して保管
- 確認シートの作成:確認担当者・確認日・確認項目を記載
- 定期的な確認:在留期限の6ヶ月前に改めて在留カードの内容を確認
「誰がやっても同じ品質で確認できる」仕組みの整備が、リスク軽減の基本です。
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まとめ
外国人雇用における在留資格確認は、有効期限の確認だけでは不十分です。在留資格の種類・就労制限の有無・資格外活動許可の有無を正確に把握し、ハローワークへの届出義務を期限内に果たし、在留期限の一元管理を継続することが、雇用主としての最低限の責務です。これらを「担当者の記憶と経験」に頼るのではなく、チェックリストや管理表を使った仕組みとして定着させることが、中小企業でリスクを抑えながら外国人雇用を継続するためのポイントになります。
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よくある質問
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