飲み会に来ない社員への対応に迷ったら読む関係構築の話

飲み会に来ない社員への対応に迷ったら読む関係構築の話 組織運営
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「先月の飲み会、また〇〇さん来なかったですね」——そんな一言が頭に残りながらも、どう対応すればいいか迷っている管理職や経営者の方は多いはずです。誘い続けるとハラスメントになるかもしれない。かといって放置すれば、チームのつながりがどんどん薄れていく。飲み会という長年の「非公式コミュニケーション」が機能しなくなった今、何を代わりにすればいいのか。この記事では、その問いに実務的な視点から答えます。

飲み会に来ない社員が増えた背景にある「価値観の変化」

飲み会への参加率が下がっているのは、社員のやる気や会社への愛着が落ちたからではありません。働く意味や時間の使い方に対する考え方が、世代によって大きく異なるようになっているからです。

「オンとオフを分けたい」若手世代のリアル

20代を中心とした若手世代は、仕事とプライベートを明確に区切ることを重視する傾向があります。飲み会を「嫌い」というより、「仕事の延長として参加する必要性を感じない」というスタンスを持っている人が多い。これは怠慢でも協調性の欠如でもなく、一つの価値観です。また、飲めない・飲みたくない理由は人それぞれで、健康上の事情、宗教的な背景、育児や介護の都合など、表に出にくい事情を抱えている場合もあります。

ベテラン層が感じる「つながりの喪失感」

一方、40〜50代の中堅・ベテラン層にとって、飲み会はただの宴会ではなく「同じ釜の飯を食う」場として機能してきた文化的背景があります。仕事の悩みを打ち明けたり、部下の本音を聞いたりする貴重な場として活用してきた世代にとって、その機会が失われることは、チームマネジメントの手段を一つ失うことと同義です。

「どちらかに合わせる」では解決しない

ここで注意したいのは、「若手が嫌がるから飲み会はやめよう」という結論に飛びつくことです。飲み会を廃止してもコミュニケーション不足の問題は解決しません。それどころか、飲み会を楽しみにしていた社員が肩身の狭い思いをするという逆転が起きることもあります。大切なのは形式の廃止ではなく、「つながりの設計」を多様化することです

「誘う」のはOK?ハラスメントの境界線を整理する

結論からいえば、飲み会に一度誘うこと自体はハラスメントにはなりません。問題になるのは「断られた後の対応」と「参加・不参加による扱いの差」です。

アルハラ・パワハラの法的な位置づけ

「アルコール・ハラスメント(アルハラ)」という独立した法令は存在しません。ただし、飲み会への参加強要や飲酒の強制は、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)に基づくパワーハラスメントとして整理されます。厚生労働省の指針(令和2年厚生労働省告示第5号)では、パワハラの類型として「個の侵害」「精神的な攻撃」が明示されており、繰り返しの参加強要や飲酒の強制はこれらに該当しうると考えておくべきです。なお、中小企業においても2022年4月からパワハラ防止措置は義務化されています。

実務で使える「やっていいこと・いけないこと」の判断基準

行為の内容 判断
飲み会に一度声をかける(任意参加として) 基本的に問題なし
断られた後、再度誘う(状況や関係性による) 頻度・状況次第でリスクあり
断られた後も繰り返し参加を求める パワハラに該当しうる
参加しなかった社員の評価や扱いに差をつける パワハラ・不利益取扱いに該当しうる
飲酒を強制する・飲めない人に無理に飲ませようとする パワハラに該当しうる

「声かけを萎縮しすぎる」こともリスクになる

ハラスメントを恐れるあまり、上司や管理職が社員への声かけ自体をやめてしまうケースがあります。しかしそれは「チームの孤立化」を加速させる行為です。積極的なコミュニケーションを避いた結果、職場の心理的安全性が下がり、メンタル不調や離職の遠因になることがあります。「誘うこと」と「強制すること」はまったく別のことです。任意参加であることを明示した上で声をかけることは、むしろ管理職として望ましい行動です。

飲み会に代わる「つながりの設計」具体策

飲み会の代替は「何か一つのイベントを用意すること」ではなく、日常的な接点を複数のレイヤーで設計することがポイントです。

業務時間内に組み込む小さなコミュニケーション

最も継続しやすいのは、業務時間内に仕組みとして組み込む方法です。代表的なのが1on1ミーティング。月に一度、30分程度の1対1の対話の場を設けるだけで、上司と部下の信頼関係は着実に変化します。ポイントは「業務の進捗確認」ではなく「相手の状態や考えを聞く場」として設計すること。最初から深い話ができなくても構いません。「最近どんなことが気になっていますか」「仕事で楽しいと感じる瞬間はいつですか」といった問いから始めるだけで、関係性は変わっていきます。専任人事がいない職場でも、管理職が一人ひとりに対して月一回実施するだけで実現できます。

ランチや軽い社内イベントを「任意参加」で設計する

飲み会の代替として「ランチ会」「チームの誕生日祝い」「社内表彰の場」などを取り入れている企業も増えています。これらを成功させるコツは、任意参加であることを明確にすること、業務時間内または昼休み中に収めること、参加・不参加が評価に影響しないことを周知することの三点です。「来ない人に合わせて何もしない」のではなく、「来たい人が自然に集まれる場」を作ることが目的です。

オンラインツールを使った非同期コミュニケーション

在宅勤務や時差勤務のある職場では、SlackやTeamsのチャンネルを活用した「雑談スペース」の設計も有効です。業務連絡とは別に「今日のランチ」「最近読んだ本」「週末の出来事」などを気軽に投稿できるチャンネルを作るだけで、テキスト越しの人となりが見えてきます。強制投稿ではなく、マネジャーが率先して投稿することで自然と文化が根付きます。

「うちのチームに合った施策がわからない」「施策を入れたけど続かない」——こうした人事課題に直面したら、一度専門家に相談することで、具体的で現実的な対応策が見えてきます。

世代が混在するチームで「心理的安全性」を育てる

心理的安全性とは「このチームでは、自分の意見や失敗を正直に話しても安全だ」という感覚のことです。これが低いチームでは、問題が表面化せず、メンタル不調も孤立も見えにくくなります。

心理的安全性を下げる「無自覚な行動」に気づく

「それは若い頃に経験しておいた方がいい」「昔はもっとしんどかった」といった言葉は、悪意なく使われることが多いですが、若手社員の発言を抑圧する効果を持ちます。同様に、飲み会の不参加を「付き合いが悪い」と評するのも、心理的安全性を低下させる典型的な行動です。管理職や経営者がまず自分の言動を振り返ることが、チーム環境改善の出発点になります。

「違いを前提にした設計」が世代間ギャップを縮める

20代と50代では、コミュニケーションの好みも情報の受け取り方も異なります。それを「どちらかに合わせる」のではなく、「違いがあることを前提にした設計」にすることが重要です。たとえば、チームの方針共有はリアルタイムの会議だけでなく、文書化して非同期でも確認できるようにする。会議の発言が苦手な社員には、事前に意見を書いてもらう場を設けるなど、参加の形を複数用意することで、自然と多様な人が関われるチームになっていきます。

メンタルヘルスとの連動を見逃さない

職場の孤立感や心理的安全性の低下は、メンタル不調・早期離職の予兆サインです。労働契約法第5条に定める安全配慮義務は、身体的な安全だけでなく精神的健康への配慮も含まれます。また厚生労働省の「労働者の心の健康の保持増進のための指針(メンタルヘルス指針)」でも、職場内のコミュニケーション活性化が職場環境整備の一環として明記されています。「最近チームがギクシャクしている」という感覚が続くなら、それはメンタルヘルスの観点からも対処すべきサインです。

「施策が続かない」職場のための運用設計の考え方

新しい取り組みが三日坊主で終わる最大の理由は、「誰がやるか」が決まっていないことです。専任人事のいない職場では特に、設計と運用の担い手を最初に決めることが継続の鍵になります。

「誰が・いつ・何をするか」を最初に決める

たとえば1on1を導入するなら、「毎月第一月曜日に、各マネジャーが担当メンバーと30分話す」という形まで決めて初めて動き始めます。「良さそうだから取り入れよう」で終わらせないために、社内ルールまたは会議体の議題として明示的に組み込むことをおすすめします。カレンダーへの定期登録など、仕組みで動くようにすると属人化を防げます。

小さく始めて「やめない」ことを優先する

完璧な施策を設計しようとするより、小さく始めて続けることの方が効果的です。月一の1on1・週一の雑談チャンネル投稿・四半期に一度のランチ会、といった粒度でも、半年続ければチームの空気は変わります。「うちの会社には難しい」と思う前に、できるところから一つだけ試してみることが、最初の一歩です。

状況別の優先施策を選ぶ目安

  • リモート勤務が多い職場:オンライン雑談チャンネルの設置・ビデオオン文化の醸成から始める
  • 対面勤務が中心の職場:朝礼や終礼に短い対話タイムを設けるなど、既存の場を活用する
  • 管理職が多忙で時間が取りにくい職場:1on1を月一回・15分に短縮した形で設計し、まず継続実績を作る
  • メンタル不調者・休職者が出始めている職場:コミュニケーション施策と並行して専門家への相談を検討する

コミュニケーション設計やメンタルヘルス対応は、経営層や人事が一人で抱える必要はありません。専門的な支援を受けることで、より現実的で実行可能な打ち手が見えてきます。

まとめ

飲み会に来ない社員への対応に迷うのは、「飲み会」という一つの手段が機能しなくなったとき、代わりに何をすればいいかわからないからです。重要なのは、飲み会を廃止するかどうかではなく、「つながりの設計」を多様化することです。一度誘うことはハラスメントにはなりません。ただし断られた後の繰り返しの強要や、不参加による不利益取扱いはパワハラに該当しうるため注意が必要です。代替施策としては、1on1・業務時間内の任意イベント・オンライン雑談の場など、日常的な接点を複数設計することが効果的です。そして職場の孤立やギクシャク感は、メンタル不調・離職の予兆である可能性があります。「うちのチーム、最近なんか変だな」と感じているなら、ウェルセンス株式会社にご相談ください。職場のコミュニケーション設計からメンタルヘルス対応まで、専任人事がいない企業を数多く支援してきたノウハウで、御社の状況に合った打ち手を一緒に考えます。

よくある質問

Q. 飲み会への参加を一度誘うだけでハラスメントになりますか?

A. 一度任意で声をかけること自体はハラスメントにはなりません。問題になるのは、断られた後も繰り返し参加を求める行為や、参加しなかったことを理由に評価・扱いに差をつける行為です。「任意参加です」と明示した上で一度誘うことは、むしろチームコミュニケーションとして自然な行動です。

Q. 飲み会をやめれば関係構築の問題は解決しますか?

A. 解決しません。飲み会を廃止しても、それに代わるコミュニケーションの場を設計しなければ、職場の孤立化が進むだけです。飲み会が担っていた「非公式なつながりの機能」を、1on1・ランチ会・雑談チャンネルなどで補完することが重要です。形式をなくすことより、機能を代替することを考えてください。

Q. 1on1を導入したいのですが、管理職が忙しくて時間が取れません。どうすればいいですか?

A. まずは月一回・15分から始めることをおすすめします。「30分・週一回」のような理想形を追うより、短時間でも継続することの方が関係構築への効果は高いです。定期的な予定としてカレンダーに入れてしまうことで、「忙しくて後回し」になりにくくなります。慣れてきたら頻度や時間を調整していくと無理なく続けられます。

Q. チームがギクシャクしているのは感じているのですが、何から手をつければいいですか?

A. まず管理職・経営者が個別に話を聞く場を作ることが最初の一歩です。「何か困っていることはありますか」という問いかけを1on1や個別の声かけで行うだけでも、孤立感の軽減につながります。加えて、チームの雰囲気の変化がメンタル不調の予兆である可能性もあるため、早めに専門家へ相談することも選択肢の一つです。

Q. 専任の人事担当者がいない会社でも、コミュニケーション施策を継続できますか?

A. できます。鍵は「誰が・いつ・何をするか」を最初に明確にしておくことです。専任人事がいなくても、管理職が月一回1on1を実施する・社内チャットに雑談チャンネルを作るといった小さな施策なら、既存の役割の中で動かすことが可能です。施策の種類より「続けられるか」を基準に選ぶことが、専任不在の職場での成功のコツです。

【監修】ウェルセンス株式会社
ウェルセンスは、メンタル不調者対応・休職復職支援に強い職場メンタルケアサービスです。産業医・保健師・心理士・社労士などの専門家ネットワークが、人事・管理職だけでは判断しづらいケースの初動対応、専門家連携、再発防止まで支援します。

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