「気づいたら2回目の育休まで2週間切っていた——」。産後パパ育休の分割取得を予定している社員から、突然そう相談を受けた経験はありませんか。制度は把握しているつもりでも、2回目の申出期限が1回目とは別に存在することを見落としていると、手続きが一気に複雑になります。この記事では、申出期限の正確なルール、給付金・社会保険の手続き、業務体制の立て直し方を実務的な視点で整理します。焦りを感じている方こそ、まずここを読んでください。
産後パパ育休「2回目の申出期限」の正確なルール
産後パパ育休の2回目申出は、原則として取得開始予定日の2週間前までに行う必要があります。「分割できる=後でいつでも申し出られる」という認識は誤りで、2回目を別途申し出る場合にも期限があります。
1回目と2回目をまとめて申し出る方法と、分けて申し出る方法の違い
産後パパ育休(育児・介護休業法第9条の2)では、子の出生後8週間以内に最大4週間(28日)を上限として取得でき、2回に分割することが認められています。申出のタイミングは2パターンあります。
- まとめて申出:1回目の育休開始前に、2回分の取得予定をあわせて申し出る方法。後から2回目の期日変更が原則できないため、スケジュールが固まっている場合に向いています。
- 分けて申出:1回目の申出とは別に、2回目の取得希望日の2週間前までに改めて申し出る方法。育児の状況に応じて柔軟にタイミングを決めたい場合に選ばれますが、この「2週間前」の期限を見落とすケースが最も多いです。
労使協定がある会社では申出期限が延びる場合がある
会社と労働組合(または労働者代表)が労使協定を締結している場合、申出期限を1か月前まで延長することが可能です。自社の就業規則・育児休業規程を確認し、「1か月前」と定めている場合は、従業員からの申出を受けた時点で既に期限を超えているかどうかを改めてチェックしてください。
2週間を切っていたら「取得拒否」はできるか
申出が2週間前を切っていた場合、会社は育休開始日の変更を求めることはできます(8週間の取得可能期間内で)。ただし、取得そのものを拒否することは原則として認められません(育児・介護休業法第10条・不利益取扱いの禁止)。「業務が忙しいから取らせない」という対応は法的リスクを伴います。開始日の調整交渉をしながら、並行して業務体制の整備を進めるのが現実的な対処法です。
育児休業給付金の2回目手続き——1回目と何が違うか
2回に分割取得した場合、育児休業給付金の支給申請は1回目と2回目でそれぞれ別々に行う必要があります。1回目の申請で完結したと思い込んでいると、2回目分の給付金を受け取れないリスクがあります。
ハローワークへの申請タイミングと必要書類
申請窓口はハローワークで、事業主(会社)が申請する形になります。2回目の育休終了後、支給単位期間ごとに「育児休業給付金支給申請書」を提出します。1回目に提出した書類(母子健康手帳の写しなど)が既に受理されている場合は、再提出が不要な書類もありますが、窓口によって取り扱いが異なるため、事前に管轄ハローワークに確認しておくと安心です。
| 確認項目 | 1回目 | 2回目 |
|---|---|---|
| 支給申請書 | 必要 | 必要(別途提出) |
| 母子健康手帳の写し | 必要 | 原則不要(既提出の場合) |
| 賃金台帳・出勤簿 | 必要 | 必要 |
| 休業開始時賃金日額の算定 | この時点で確定 | 原則、1回目の算定値を引き継ぐ |
給付金の計算基礎は2回目でも変わらない
育児休業給付金の計算基礎となる「休業開始時賃金日額」は、雇用保険法施行規則の規定により、原則として最初の休業開始時のものが適用されます。1回目と2回目の間に昇給があっても、給付金の日額計算には影響しないのが一般的です。ただし、個別の事情によって異なることがあるため、不明点はハローワークに早めに問い合わせることを推奨します。
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社会保険料免除の要件——産後パパ育休特有の注意点
産後パパ育休中の社会保険料免除は、月末時点で育休中であることが基本的な要件です。短期間の取得では免除されない場合があり、通常の育児休業とは扱いが異なる点に注意が必要です。
月末在籍と免除の関係
健康保険法第159条・厚生年金保険法第81条の2の規定(2022年10月改正後)に基づき、育休期間中の月末日に育休を取得していれば、その月の社会保険料が免除されます。たとえば月の途中から育休を開始し、月末前に終了する場合は、その月の保険料は免除されません。2回目の取得期間を設計する際は、月末をまたぐかどうかも意識しておくと、従業員・会社双方の負担軽減につながります。
賞与に係る保険料は「1か月超」が条件
賞与に係る社会保険料の免除には、育休期間が1か月を超えることが条件です。産後パパ育休は最大28日のため、単独では1か月を超えることができません。通常の育児休業と連続取得している場合はトータルの日数で判断しますが、産後パパ育休のみを短期間で2回取得するケースでは、賞与の免除が適用されないことがほとんどです。給与計算担当者や社会保険労務士と事前に確認してください。
業務体制の再構築——小規模企業が2回目の育休を乗り切るための現実策
20〜50名規模の会社では、1回目の育休対応で同僚の負担がすでに増えている状態で2回目を迎えるケースが多く、体制の再構築が最大の課題になります。完璧な引き継ぎより、「最低限何を止めないか」を優先する発想が現実的です。
引き継ぎの優先順位を3段階で整理する
すべての業務を完全に引き継ごうとすると、残るメンバーの負担が限界を超えます。まず業務を「止めてはいけない業務(顧客対応・締め切りあり)」「遅らせても問題ない業務」「休業中に発生しない業務」の3段階に分類します。次に「止めてはいけない業務」だけに集中してカバー担当者を決め、残りは本人復帰後まで保留できるよう関係者に事前説明しておきます。この整理だけで、体制構築の労力が大幅に減ります。
社内への周知と心理的フォロー
1回目の育休対応で疲弊しているメンバーに対し、2回目の育休期間・終了日・自分たちへの影響を早めに共有することが重要です。「いつまで続くかわからない」という不安が、職場の不満につながりやすいからです。終了日と復帰後の役割分担を明示するだけで、チームの心理的負担は軽減できます。また、育休取得者本人へのハラスメントが発生しないよう、上長から一言フォローを入れることも職場環境の観点から有効です。
外部リソース・代替手段の活用を検討する
「社内だけで回す」という前提を一度外してみることも有効です。短期の業務委託、派遣スタッフの活用、あるいは特定の業務だけをアウトソーシングするだけで、残メンバーへの集中を避けられるケースがあります。20〜50名規模の会社でも、1〜2か月の短期間であれば費用対効果が合う場合があります。コスト感覚と業務ボリュームを照らし合わせて検討してみてください。
制度ルールの把握と現場対応の両面で判断が迷う場合は、一度プロに相談すると心強いです。
申出が直前になったときの会社対応フロー
申出が2週間前を切っていても、対応すべきことは決まっています。焦らず順序立てて動くことで、法的リスクを避けながら現実的な対応ができます。
まず申出の受理と開始日の調整交渉を行う
従業員から申出を受けた時点で、口頭でも「受け取った」ことを伝え、速やかに書面(育児休業申出書)の提出を求めます。2週間前を切っている場合は、「開始日を〇日後にずらすことは可能か」と丁寧に調整を打診することができます(8週間の取得可能期間内であることが条件)。ただし強制はできないため、調整が難しければ申出どおりの日程で対応する準備を進めます。
次に社会保険・給付金の手続きを並行して進める
開始日が決まったら、健康保険・厚生年金の育児休業等取得者申出(日本年金機構・健康保険組合)と、ハローワークへの育児休業給付金の手続きを並行して進めます。社会保険労務士が顧問についている場合はすぐに相談し、手続きの漏れを防いでください。顧問がいない場合は、管轄のハローワークと年金事務所に直接問い合わせることを優先します。
人事だけで全てを抱え込まず、必要に応じて外部の専門家や相談窓口を頼ることが、ミス防止にもメンバーの心身にも繋がります。
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まとめ
産後パパ育休の2回目申出期限は、原則として取得開始の2週間前です。分割取得を選んだ場合、2回目も別途申し出が必要であり、給付金の支給申請もそれぞれ行う必要があります。社会保険料の免除は月末在籍が要件となるため、取得期間の設計も重要です。期限が直前に迫っている場合でも、取得拒否は原則できず、開始日の調整交渉と並行して業務体制・手続きを整えることが求められます。
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