外国人従業員の在留資格が期限切れ。会社はどうすればいい?

外国人従業員の在留資格が期限切れ。会社はどうすればいい? コンプライアンス
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「在留カードを確認したら、有効期限が3か月前に切れていた——」。気づいたのは給与計算のタイミングで、その外国人従業員はずっと普通に働いていた。こうした状況に直面した経営者・人事担当者から、「今すぐ何をすればいいのか」「会社は罰せられるのか」という声が後を絶ちません。外国人従業員の在留資格期限切れは、専任の法務・人事担当者がいない中小企業にとって「気づいたときには手遅れ」になりやすいテーマです。この記事では、外国人従業員の在留資格が期限切れになった場合の対応として、発覚直後にとるべき行動から、法的リスクの正確な理解、合法的な継続雇用の可能性まで、実務の流れに沿って解説します。

発覚直後にやるべきこと:就労を止める

外国人従業員の在留資格期限切れが発覚したら、最初にすべきことは「就労の一時停止」です。この一点を最優先に動いてください。以下の順序で対応を進めます。

就労を即時停止し、休業扱いにする

在留資格の期限が切れた状態で就労を続けさせることは、会社側が「不法就労助長罪」に問われるリスクを高めます。「もう少し様子を見てから」「本人が手続きを済ませてから再確認しよう」という対応は厳禁です。発覚したその日のうちに、当該従業員を業務から外し、休業扱いとしてください。休業中の賃金取り扱いは、在留資格の状況が判明してから判断します。

在留カード原本を確認し、コピーを保存する

次に、当該従業員の在留カード原本を確認し、表裏のコピーを取って日付とともに保管します。確認した日時・担当者名・在留カードの記載内容(在留資格の種類・在留期限・就労可否欄)を記録に残してください。この記録が後々、会社が「確認義務を果たしていた」という証拠になります。採用時の確認記録が残っていない場合も、今この時点から記録を始めることが重要です。

ハローワークへの届出状況を確認する

事業主は、外国人を雇い入れたとき・離職したときに、ハローワーク(公共職業安定所)へ在留資格・在留期間などを届け出る義務があります。この届出が未了のまま放置されているケースも少なくありません。雇入れ時の届出が適切に行われていたか、この機会に確認・是正してください。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象となります。

会社が問われる法的リスク:不法就労助長罪とは

在留資格の期限が切れた外国人を就労させ続けた場合、会社は「不法就労助長罪」として3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります。これは法人にも適用されます。

「知らなかった」では免責されない理由

多くの経営者が「期限切れとは知らなかったのだから会社は悪くない」と考えます。しかし入管法は、確認を怠った過失があれば処罰対象となりうる構造をとっています。裁判所で「過失がなかった」と立証できれば免責される余地はありますが、それには「定期的に在留カードを確認し、記録を残していた」という具体的な証拠が必要です。「確認するつもりだった」「本人から報告があると思っていた」では、過失を否定する根拠になりません。

採用時の確認だけでは不十分な理由

採用時に在留カードを確認した、という会社は一定数あります。しかし在留資格には有効期限があり、1年・3年・5年など更新のたびに新しい在留カードが発行されます。採用時に一度確認しただけで、その後の更新状況を把握していなければ、今回のような「期限切れ」が発覚します。実務上の防衛策は、在留期限の3か月前をリマインダーに設定し、更新後の新しい在留カードを必ず提出・確認する運用を作ることです。この仕組みがないまま外国人従業員を雇用し続けることは、会社の事業リスクとして認識してください。

在留資格の状況別:対応の分岐と判断基準

発覚後の対応は、在留資格の「どのような状態か」によって取りうる選択肢が変わります。以下の表で自社の状況を確認してください。

状況 就労の可否 次のアクション
期限切れだが、更新申請を既に申請中 旧在留期間満了後2か月間、または申請結果判明まで適法就労継続可 申請受理通知を確認。行政書士に申請状況を確認してもらう
期限切れで、申請もまだ行っていない 就労不可(即時停止が必要) 入管または行政書士に相談し、在留資格回復の可能性を確認する
在留資格の種類が就労活動に対応していない 就労不可 在留資格変更申請の可否を行政書士に相談。変更が難しい場合は雇用終了手続きへ
在留カード自体が偽造・虚偽記載だった 就労不可 直ちに就労停止。弁護士・行政書士・入管に相談。会社側の善意の立証が重要

申請中の特例を正確に理解する

在留期間の更新申請または在留資格変更申請を適法に申請中の場合、入管法の規定に基づき、旧在留期間満了後2か月間、または申請結果が出るまでの間は適法に就労できる特例があります。ただし、これはあくまで「申請が受理されている」場合の話です。申請すら行っていない状態での期限切れにはこの特例は適用されず、即座に不法就労の状態となります。

雇用継続を目指す場合の相談先

在留資格の更新・変更手続きを会社としてサポートしたい場合、入管申請を専門とする行政書士への相談が最も実務的な第一歩です。入管(出入国在留管理局)に直接相談することもできますが、手続きの可否・戦略を会社側として整理するなら行政書士が適しています。一方、雇用終了(解雇・退職)の手続きが必要になった場合は、労働法の観点から社会保険労務士(社労士)への相談も有効です。複数の専門家が関わる局面では、相談する順序と役割分担を明確にしておくことが重要です。

当該従業員への伝え方と処遇

外国人従業員の在留資格期限切れが発覚した際、本人への対応は「責めるのではなく、事実を確認し、会社として取りうる選択肢を伝える」というスタンスが基本です。

本人への伝え方のポイント

まず、本人が故意に期限切れを隠していたのか、単純に更新手続きを失念していたのかを冷静に確認します。多くのケースでは悪意がなく、更新手続きの方法・タイミングを知らなかった、または多忙で手続きが遅れたというものです。感情的な叱責や一方的な解雇通告は、後のトラブルにつながります。「今後の就労継続のために一緒に解決策を探したい」というスタンスで面談を行い、在留資格の現状・今後の手続きの見通しについて確認してください。

休業中の賃金と雇用継続の判断

就労を一時停止している間の賃金については、在留資格が回復できる見込みがある場合は休業手当(平均賃金の6割以上)の支払いを検討してください。在留資格が回復できない・本人が手続きを拒否するといった場合は、雇用継続が困難となります。この場合も、一方的な即時解雇は労働トラブルになりえます。退職勧奨や解雇の手続きが必要になるときは、社労士または弁護士に相談することを強くお勧めします。

一人発覚したら全員を確認する

一人の外国人従業員の在留資格期限切れが発覚したとき、他の外国人従業員についても同様のリスクがないかを同時に確認することが不可欠です。管理の仕組みがなければ、同じ問題が複数名に潜んでいる可能性があります。

全員の在留カードを今すぐ確認する

外国人従業員が複数いる場合、今回の発覚を機に全員の在留カードを確認してください。確認項目は、在留期限・在留資格の種類・就労可否欄(裏面の「就労不可」欄に注記がないか)の3点です。確認結果を一覧表にまとめ、誰が・いつ・何を確認したかを記録します。

仕組みとして定着させる管理台帳の作り方

今後のために、外国人従業員の在留資格管理台帳を作成することをお勧めします。台帳に含める情報は「氏名・在留資格の種類・在留期限・次回確認予定日(期限の3か月前)・担当者」の5項目が基本です。更新の都度、新しい在留カードのコピーを取り直して台帳を更新する運用を社内ルールとして定めることで、今後の期限切れ見落としを防ぐことができます。Excelで管理するだけでも、確認のタイミングが可視化されるだけで大きく状況が変わります。

まとめ

外国人従業員の在留資格期限切れが発覚したら、まず就労を一時停止し、在留カードを確認・記録することが最初のステップです。「知らなかった」では不法就労助長罪の免責にならないため、会社として確認義務を果たしていた証拠を積み上げることが唯一の防衛線になります。在留資格の状況によっては合法的に雇用継続できる余地もありますが、申請中かどうかで対応がまったく異なるため、行政書士への早期相談が重要です。また、一人発覚したら全員の在留カードを確認し、管理台帳と定期確認の仕組みを整備することが再発防止につながります。

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よくある質問

Q. 在留資格の期限が切れていると知らずに働かせていた場合、会社は罰せられますか?

A. 「知らなかった」だけでは免責になりません。不法就労助長罪は、確認を怠った過失があれば処罰対象となりえます。採用時・更新時に在留カードを確認し、その記録を残していたかどうかが、過失の有無を左右します。発覚後は就労を即時停止し、行政書士または弁護士に相談することを強くお勧めします。

Q. 在留資格の更新申請が「申請中」であれば就労を続けさせても問題ありませんか?

A. 更新申請または変更申請が適法に受理されている場合、入管法の規定により旧在留期間満了後2か月間、または申請結果が判明するまでの間は適法就労が継続できる特例があります。ただし「申請中」であることの証明(申請受理通知など)を確認する必要があります。申請すら行っていない状態での期限切れにはこの特例は適用されません。

Q. 在留資格が切れた従業員はすぐに解雇しなければなりませんか?

A. 即時解雇が唯一の選択肢ではありません。在留資格の回復(更新・変更)が見込める場合は、就労を一時停止したうえで手続きをサポートし、資格回復後に就労を再開するという対応もあります。ただし回復の見込みがない場合や本人が手続きを拒否する場合は、雇用終了の手続きが必要になります。一方的な即時解雇は労働トラブルになるリスクがあるため、社労士または弁護士への相談をお勧めします。

Q. 採用時に在留カードを確認していれば、それ以降の管理は不要ですか?

A. 採用時の確認だけでは不十分です。在留資格には有効期限があり、更新のたびに新しい在留カードが発行されます。更新後の新しい在留カードを会社が受け取り・確認していなければ、期限切れに気づけません。実務上は、在留期限の3か月前をリマインダーとして設定し、更新後のカードを提出・確認する仕組みを作ることが必要です。

Q. ハローワークへの外国人雇用状況の届出を忘れていた場合、どうすればいいですか?

A. 届出義務は労働施策総合推進法第28条に定められており、怠ると30万円以下の罰金の対象となります。未届けに気づいた場合は、放置せず速やかに管轄のハローワークに相談し、是正手続きを進めてください。ハローワークの窓口で「届出が漏れていた」と申し出ると、手続きの方法を案内してもらえます。

【監修】ウェルセンス株式会社
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