アルコールチェック義務の対象か迷ったら読む判定ガイド

アルコールチェック義務の対象か迷ったら読む判定ガイド コンプライアンス
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「社用車は何台かあるけど、うちは対象になるの?」「検知器を使う義務がいつから始まったか、正直よくわからない」――専任の人事担当者がいない中小企業では、こうした疑問を抱えながらも確認する時間が取れず、対応が曖昧なまま放置されているケースが少なくありません。義務違反には50万円以下の罰金という罰則もあります。この記事では、自社がアルコールチェック義務対象かどうかの判定から記録保存の実務まで、順を追って整理します。

白ナンバーと緑ナンバーで義務の根拠が違う

緑ナンバーはもともと別の法令で規制されている

まず前提として、車両のナンバープレートには「白ナンバー(自家用)」と「緑ナンバー(営業用)」があります。タクシー・トラック・バスなどの旅客・貨物運送事業者が使う緑ナンバー車は、道路運送法や貨物自動車運送事業法といった業法によって以前からアルコールチェックが義務付けられています。

今回の改正で新たに義務化の対象となったのは、主に白ナンバーを使う一般事業者です。「運送業でもないし関係ないか」と思いがちですが、営業車や送迎車を複数台保有している企業は十分にアルコールチェック義務対象になり得ます。

白ナンバー車の対象判定はこの2つの基準で決まる

白ナンバー事業者の場合、以下の基準に該当する事業所が「安全運転管理者の選任義務」を負い、アルコールチェック義務の対象となります。

  • 乗車定員11人以上の車両を1台以上保有している場合
  • それ以外の車両を5台以上保有している場合(乗車定員11人以上の車両は1台で5台換算)

たとえば、8人乗りのミニバンを3台と普通乗用車を2台保有している場合、合計5台となり対象です。また、マイクロバス(定員11人以上)が1台あるだけで、その時点で対象になります。「5台未満だから大丈夫」と思っていても、大型送迎車が1台あれば即対象になる点に注意が必要です。

判定に迷ったら「事業所単位」で考える

台数の判定は会社全体ではなく事業所単位で行います。複数拠点を持つ企業では、本社と各支店を切り分けて考えます。「本社では3台、支店では3台」という場合、それぞれの拠点ごとに5台の基準を満たすかどうかを確認してください。なお、選任した安全運転管理者の情報は所轄の警察署に届け出る義務もあります。

アルコール検査義務化の正確なスケジュール

2022年から段階的に施行された経緯

義務化の経緯を整理しておくと、2022年4月に「目視等によるアルコールチェック」が義務化されました。これは運転前後に管理者が運転者の顔色・息・様子などを目視で確認し、酒気帯びの有無を判断するというものです。

続いて2022年10月から「アルコール検知器の使用義務化」が予定されていましたが、全国的な検知器の供給不足を理由に延期となりました。この延期の情報が広まったことで「まだ先の話」という認識が定着してしまい、対応が遅れた企業が多く見られました。

2023年12月1日から検知器使用が正式に義務化

2023年12月1日以降は、アルコール検知器の使用が正式に義務化されています。目視だけでの確認は法令上の義務を満たしません。対象事業者であれば、運転前後に必ず検知器を使って確認を行う必要があります。

「うちはずっと目視でやってきたから大丈夫」という認識は、現時点では通用しません。2023年12月以降も目視のみで対応している場合、安全運転管理者の業務不履行として50万円以下の罰金の対象となる可能性があります。

「いつから」の混乱を防ぐためにすべきこと

社内の担当者が複数いる場合、義務化スケジュールの認識がバラバラになりがちです。「2022年に対応した」という記録だけでは、検知器使用義務への対応が抜けているケースもあります。まず現状確認として「検知器を実際に使って記録を残しているか」を確認することが最初のステップです。

アルコール検知器の選び方と管理のポイント

使用できる検知器には性能基準がある

義務に使用できるアルコール検知器は、「国家公安委員会規則で定める性能基準を満たすもの」に限られます。具体的には、呼気中のアルコールを検知してその有無または濃度を警告できる機能を持つものです。

ただし、国が「この検知器はOK」という認定リストを公式に公示しているわけではありません。そのため、購入時にメーカーや販売店に「国家公安委員会規則の性能基準を満たしているか」を文書で確認し、仕様書を保管しておくことが重要です。ドラッグストアで売られている簡易型や、スマートフォン連動型のものは基準を満たさない場合があるため注意が必要です。

校正・点検の管理も怠らない

法令上、検知器の校正・点検に関する具体的な期間の定めはありません。しかし「正確性を確保するための管理が必要」とされており、実務上はメーカー推奨の校正サイクル(概ね6か月〜1年ごと)に従って点検を行うことが望ましいとされています。

点検・校正の記録も残しておくと、万が一問題が起きたときの証拠として機能します。「いつ校正したか」「誰がメーカーに依頼したか」を管理台帳に記録しておくことを推奨します。

記録保存の実務:何を・どう・どれだけ残すか

記録すべき8つの項目

アルコールチェックの記録は、道路交通法施行規則に基づき以下の項目を残す必要があります。様式の指定はなく、紙でもデジタルでも構いません。

  • 確認者(安全運転管理者等)の氏名
  • 運転者の氏名
  • 使用した車両のナンバー
  • 確認の日時
  • 確認方法(アルコール検知器使用の旨)
  • 酒気帯びの有無
  • 指示事項(飲酒があった場合に取った措置)
  • その他参考事項

「確認方法」の欄には単に「検知器使用」と記載するだけでなく、使用した検知器の機種名・管理番号を記入しておくと、後の確認作業が容易になります。

保存期間は1年間・デジタル保存も有効

記録の保存義務期間は1年間です。紙で保存する場合はファイリングして施錠管理、デジタルの場合はExcelやクラウドシートに入力してアクセス権を設定するといった運用が現実的です。

日常業務と並行して対応する中小企業では、毎回の手書き記録が負担になりがちです。Excelテンプレートを用意して日付・氏名・数値をドロップダウンで入力できるようにすると、記録漏れを防ぎやすくなります。テンプレートの整備は一度行えば以後の運用コストが大幅に下がります。

「記録が残っていない」は最も危険なリスク

もし警察の立入調査や労働基準監督署の確認があった場合、記録が存在しない・様式が不十分であることは「義務不履行」とみなされます。「実際はやっていたが記録を残していなかった」では言い訳になりません。記録の保存こそが義務の本体と理解することが重要です。

陽性反応が出たとき・アルコール問題が疑われるときの対応

検知器で数値が出たときの即時対応フロー

アルコール検知器で酒気帯びが疑われる数値が出た場合、まずその日の運転を禁止します。道路交通法では呼気1リットルあたり0.15mg以上のアルコールが検出された場合が酒気帯び運転に該当しますが、数値に関わらず「運転可否の最終判断は安全運転管理者が行う」という原則があります。数値だけで自動的に可否を決めるのではなく、管理者が状況を確認した上で判断する体制が必要です。

記録には「酒気帯び有り」「運転禁止を指示」「代替手段の確保」などの指示事項を明記します。

就業規則との連動と産業保健的な視点

飲酒運転・酒気帯び出勤が発覚した場合、就業規則の懲戒規定との連動が必要です。「アルコールチェックで陽性だった場合の処分基準」が就業規則に明記されていない企業では、対応の一貫性が保てず、後でトラブルになるケースがあります。

さらに見落としがちなのが、アルコール依存症の疑いという視点です。一度だけの問題であれば懲戒対応で完結することもありますが、繰り返し問題が起きる従業員の場合、背景にアルコール依存症や深刻なストレス・メンタルヘルス課題が潜んでいる可能性があります。この場合は懲戒だけでなく、産業医への相談・専門医療機関への受診勧奨・休職判断といった対応が必要になります。法令対応と人事・産業保健の両面を連携させた体制づくりが、中長期的なリスク管理につながります。

まとめ

アルコールチェック義務対象の判定は、「乗車定員11人以上の車両が1台以上」または「それ以外の車両が5台以上」という基準で決まります。2023年12月1日以降は目視だけでなくアルコール検知器の使用が義務となっており、記録は8項目を1年間保存することが求められています。

これらの実務対応を専任人事なしに整備するのは、日々の業務と並行しながらでは容易ではありません。ウェルセンス株式会社では、対象判定チェックリストの提供から社内運用フローの構築、さらにアルコール問題が発覚した際の産業保健・休職対応まで、中小企業の実情に合わせた伴走支援を行っています。自社が対象かどうかから確認したい、あるいは運用ルールの整備が進まないなど、どの段階でのご相談でも構いません。お気軽にお問い合わせください。

よくある質問

Q. 社用車が4台しかありませんが、アルコールチェック義務対象になりますか?

A. 通常の乗用車・軽自動車であれば4台以下は対象外です。ただし、1台でも乗車定員11人以上の車両(マイクロバス等)が含まれていれば、その1台だけで5台換算となり対象になります。4台の内訳を必ず確認してください。

Q. まだ目視でしかチェックしていません。今からでも間に合いますか?

A. 2023年12月1日以降はアルコール検知器の使用が義務です。現在も目視のみの場合は、早急に検知器を導入する必要があります。導入が遅れている間も義務違反状態が続くため、できる限り速やかに対応を進めてください。

Q. アルコールチェックの記録は、Excelや紙のどちらで残すべきですか?

A. 法令上、様式や媒体の指定はなく、紙でもExcel等のデジタルデータでも問題ありません。重要なのは8項目が漏れなく記録され、1年間保存できる管理体制があることです。継続しやすい方法を選び、運用ルールを明確にしておくことが大切です。

Q. アルコール検知器はどれを選べばよいか判断基準はありますか?

A. 「国家公安委員会規則で定める性能基準を満たすもの」を選ぶ必要があります。国の認定リストはないため、メーカーに「性能基準を満たしているか」を書面で確認し、仕様書を保管しておくことが重要です。ドラッグストアの簡易型や未確認のスマートフォン連動型は基準を満たさない場合があるため注意が必要です。

Q. チェックで陽性が出た従業員への対応は、どこに相談すればよいですか?

A. まず当日の運転禁止と記録の保全が優先です。その後の懲戒対応・就業規則との整合性確認は社会保険労務士や人事支援の専門家に、アルコール依存症の疑いがある場合は産業医や専門医療機関への相談が必要です。ウェルセンス株式会社では、労務対応と産業保健の両面からサポートする体制を整えていますので、ご相談ください。

【監修】ウェルセンス株式会社
ウェルセンスは、メンタル不調者対応・休職復職支援に強い職場メンタルケアサービスです。産業医・保健師・心理士・社労士などの専門家ネットワークが、人事・管理職だけでは判断しづらいケースの初動対応、専門家連携、再発防止まで支援します。

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