休職を受理したあとの対応に迷ったら読む手続きガイド

休職を受理したあとの対応に迷ったら読む手続きガイド メンタルヘルス対応
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「診断書が届いた。休職を認めた。……で、次に何をすればいいんだろう?」

休職の申し出を受理した直後、こう言葉に詰まる経営者・人事担当者は少なくありません。専任の人事部門がない中小企業では、社労士にすぐ相談する時間もなく、給与計算の締め日が迫るなかで手探り対応が始まることがほとんどです。この記事では、休職受理後にやるべき手続きを時系列・テーマ別に整理します。抜け漏れを防ぐための実務地図として、ぜひ手元に置いてご活用ください。

受理直後に確認すべき3つの土台

休職を受理したら、まず「就業規則・診断書・社内窓口」の3点を確認することが、その後のすべての手続きの起点になります。

就業規則で休職の規定を確認する

休職中の給与・社会保険料の扱い・休職期間の上限・延長可否・自然退職の条件などは、就業規則の規定によって異なります。「法律でこう決まっている」という一律のルールではなく、自社の規則がベースになるため、まず該当条文を印刷して手元に置いてください。就業規則が古く、休職に関する規定が曖昧な場合は、このタイミングで社労士に確認することを強くおすすめします。

診断書の内容と休職期間の終了日を把握する

医師が発行した診断書には、傷病名・療養期間の目安が記載されています。受け取りっぱなしにせず、次の3点を確認して台帳に記録しましょう。

  • 休職開始日(診断書に記載された療養開始日と、実際の最終出勤日のどちらを起算日とするかを就業規則で確認)
  • 休職期間の終了予定日
  • 期間延長の可能性があるかどうか(「症状によっては延長の可能性あり」と医師から言われているケースも多い)

診断書の原本は人事書類として厳重に保管し、コピーを手続き用に使うのが基本です。

社内の連絡窓口を一本化する

経営者・直属上司・総務担当がそれぞれ独自に本人へ連絡を入れてしまうと、本人が混乱するだけでなく、不用意な言動がのちのハラスメントトラブルに発展するリスクがあります。受理当日中に「本人への窓口はこの人」と決め、関係者全員に共有しましょう。窓口担当者は原則として人事担当または総務担当とし、直属上司は業務引き継ぎ以外の連絡は行わないよう徹底してください。

受理後すぐに発行する書類

口頭で休職を認めるだけでは不十分です。「休職承認通知書(または休職命令書)」を書面で発行し、双方の認識を一致させることが、のちのトラブル防止につながります。

休職承認通知書に盛り込む項目

以下の項目を記載した書面を作成し、本人に交付します。メールで送付する場合も、受信確認をとる運用にしましょう。

  • 休職開始日・休職期間(終了予定日)
  • 休職中の給与の扱い(無給・有給・一部支給など就業規則に従った内容)
  • 社会保険料の本人負担分の支払い方法(後述)
  • 傷病手当金の申請案内
  • 復職手続きの概要(いつまでに・何を提出すれば復職できるか)
  • 休職期間中の連絡窓口と連絡頻度の目安

就業規則に「休職命令は書面で行う」と明記されている企業では、この書面の発行が義務的な手続きになります。規定がない場合でも、後日の認識相違を防ぐために発行を徹底してください。

診断書の再提出タイミングを決めておく

初回の診断書で示された期間が終了する前に、次の診断書(継続の場合)または復職可能の診断書を提出してもらうルールを書面に明記しておくと、期間管理がスムーズになります。「期間満了の2週間前までに次の診断書を提出すること」などと具体的な日数を示すのが実務上有効です。

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給与・社会保険の手続き

給与と社会保険の処理は、休職開始月の給与計算に直接影響するため、できるだけ早く方針を固める必要があります。放置すると月末の給与計算直前に慌てることになるため、受理後3営業日以内を目安に動き出しましょう。

休職中の給与はどう処理するか

就業規則に「休職中は無給」と定めている場合、ノーワークノーペイの原則に基づき、実際に勤務しなかった日数分の給与は支払い義務がありません。休職開始月は「出勤日数に応じた日割り計算」で給与を算出するのが一般的です。

給与が発生しない(または大幅に減額になる)月については、雇用保険料の控除は不要になります。雇用保険料は支払われた賃金額に応じて算出されるため、賃金ゼロの月は控除額もゼロになります。

社会保険料の本人負担分をどう回収するか

休職中も健康保険・厚生年金の被保険者資格は継続し、毎月の保険料は発生し続けます。「休職中は社会保険料がかからない」は代表的な誤解なので注意してください。

問題は、給与がゼロになった場合に本人負担分(毎月の保険料の約半分)をどう徴収するかです。主な方法は次の3つで、就業規則や休職承認通知書に明記したうえで本人と合意しておく必要があります。

方法 概要 注意点
毎月振込 翌月末までに本人が会社口座へ振込 振込忘れが発生しやすい。リマインド運用が必要
復職後の給与から精算 復職後の給与から休職期間分をまとめて控除 長期休職の場合、まとめ額が大きくなり本人負担が重くなる
部分有給支給で給与から控除 就業規則で休職中も一定額を支払う規定がある場合に給与から控除 支給額が保険料額を下回る場合は差額の徴収が別途必要

社会保険料の計算や振込管理が複雑に感じられる場合、社労士や人事専門家に一度相談することで、後々のトラブルを防ぐことができます。

傷病手当金の案内と会社の役割

傷病手当金の申請者は本人(被保険者)であり、会社は申請書の「事業主記載欄」への記入と、制度の案内サポートを行う立場です。「会社が自動的にやってくれる」と誤解した本人が動かず、支給開始が大幅に遅れるケースが多いため、受理後速やかに書面で案内することが重要です。

傷病手当金の基本的な仕組みを本人に伝える

案内文書には以下の内容を盛り込みましょう。口頭ではなく書面で渡すことで、本人が療養中に落ち着いて確認できます。

  • 傷病手当金は健康保険の給付であり、業務外の傷病による休業が対象(業務起因の場合は労災保険の休業補償給付が対象となり、傷病手当金との併給はできない)
  • 連続3日間の待期期間が完成した後、4日目以降が支給対象となる
  • 支給額は標準報酬日額の3分の2相当
  • 申請書の入手先(協会けんぽまたは加入している健康保険組合のウェブサイト)
  • 申請書には医師の証明欄と事業主記載欄があり、両方を揃えて申請する必要があること

会社が行う事業主記載欄の記入

本人から申請書が届いたら、会社は「被保険者が勤務できなかった期間」を確認し、事業主記載欄(休業日・給与支払いの有無など)を正確に記入して返送します。記入内容に誤りがあると申請が差し戻されるため、出勤簿や勤怠記録と照合しながら記入してください。事業主の押印が必要かどうかは健保組合によって異なりますので、申請書の様式を事前に確認しましょう。

産業医・社労士がいる場合といない場合の対応差

産業医が選任されている企業(従業員50人以上が選任義務)では、産業医が本人の状態を把握したうえでアドバイスをもらえます。50人未満の企業では産業医の選任義務はありませんが、かかりつけ医や地域の産業保健総合支援センターに相談する方法があります。社労士と顧問契約がある場合は、傷病手当金の書類確認や社会保険料の計算を一緒に確認してもらうことで処理ミスを防げます。

休職中の本人との連絡ルール

休職中の連絡は「必要最小限・窓口一本化・記録を残す」が基本原則です。過度な連絡は本人の療養を妨げ、場合によってはハラスメントとして問題になります。一方で、完全な放置は復職支援の遅れや関係悪化につながります。

連絡の頻度と内容の目安

厚生労働省の「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」では、休職初期は休養に専念させることが基本とされています。連絡の目安としては、休職開始から最初の1か月は「書面での案内1回+本人が希望する場合のみ月1回程度の状況確認」にとどめるのが安全です。

連絡の内容は、業務指示・同僚の話題・退職への言及などは厳禁です。「療養に専念してください」「書類が必要なときはこちらに連絡してください」という趣旨に限定します。

診断名・病状の社内共有は慎重に

診断名や病状は個人情報保護法上の「要配慮個人情報」にあたり、本人の同意なく同僚・他部署・取引先などの第三者に開示することは禁止されています。職場では「体調不良で療養中」という表現にとどめ、詳細を共有しないのが原則です。引き継ぎのために直属上司に最低限の情報を伝える場合も、本人の同意を得たうえで行ってください。

まとめ

休職を受理した後にやるべき手続きは、大きく分けると「書類の発行・給与と社会保険の処理・傷病手当金の案内・連絡体制の整備」の4つです。専任人事がいない中小企業では、これらを同時並行で進めながら通常業務もこなすことになるため、抜け漏れが生じやすい状況です。

特に社会保険料の徴収方法と傷病手当金の案内は、対応が遅れると本人の生活に直接影響するため、受理後3営業日以内を目安に動き出すことを意識してください。

これらの手続きを人事だけで完結させようとすると、判断ミスや手続き漏れが生じやすいもの。社労士や外部専門家の力を借りることで、本人にも会社にも安心が生まれます。

ウェルセンス株式会社では、こうした休職・復職対応の整備を経験豊富なスタッフがサポートしています。「就業規則の休職規定を確認してほしい」「傷病手当金の書類確認を一緒にやりたい」「社内の連絡ルールを整えたい」など、どんな入口からでも構いません。まずはお気軽にご相談ください。

よくある質問

Q. 休職承認通知書のひな形はどこかで入手できますか?

A. 法定の様式はなく、会社ごとに作成します。社労士会や中小企業向けの人事支援サービスがひな形を提供しているケースがあります。ウェルセンス株式会社でも個社の就業規則に合わせた書面作成のご支援が可能ですので、お気軽にご相談ください。

Q. 傷病手当金の申請書に会社が記入する期限はありますか?

A. 傷病手当金の請求権は支給を受ける権利が生じた日ごとに2年の時効があります(健康保険法第193条)。会社側に法定の記入期限はありませんが、本人の生活費に直結するため、申請書が届いたら速やかに(目安として3営業日以内)記入して返送することが望ましいです。

Q. 休職中の本人から「仕事の状況を教えてほしい」と連絡がきた場合はどう対応すべきですか?

A. 本人からの連絡であっても、詳細な業務報告は療養の妨げになる可能性があります。「引き継ぎは済んでいますので、今は療養に専念してください」と伝え、業務の詳細は共有しないのが基本方針です。本人の不安が強い場合は、産業保健スタッフや外部相談窓口の利用を案内することも選択肢になります。

Q. 社会保険料の本人負担分を払ってもらえない場合、どう対処すればよいですか?

A. 未払いが続く場合、会社は本人負担分も含めた保険料を一時的に立て替え続けることになります。復職後に給与から分割控除する方法が現実的ですが、長期休職になるほど累積額が大きくなるため、休職開始時に徴収方法を書面で合意しておくことが重要です。合意なき控除は労働基準法上問題になるため、必ず事前の書面合意を取ってください。

Q. メンタル不調の場合、労災申請と傷病手当金のどちらになりますか?

A. 業務上の強いストレスや出来事が原因と判断される場合(業務起因性がある場合)は労災保険の休業補償給付が対象になります。一方、業務外の私的な要因によるメンタル不調は健康保険の傷病手当金が対象です。両者の併給はできません。業務起因性の判断は複雑で、労働基準監督署による調査が入るケースもあるため、症状の背景が業務に関係していると思われる場合は早めに社労士や専門家に相談することをおすすめします。

【監修】ウェルセンス株式会社
ウェルセンスは、メンタル不調者対応・休職復職支援に強い職場メンタルケアサービスです。産業医・保健師・心理士・社労士などの専門家ネットワークが、人事・管理職だけでは判断しづらいケースの初動対応、専門家連携、再発防止まで支援します。

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